「芋っテル」人気高まる 産地や品種 食べ比べ好評 大船渡町に開店の焼き芋専門店 サツマイモ色の店舗で異彩
令和5年12月21日付 7面

大船渡市大船渡町字笹崎地内で先月開店した「芋っテル」。焼き芋専門店という気仙では珍しい業態で、サツマイモ色の店舗も相まって地域の話題となっている。同市の食品卸売サービス業の㈱浅野(浅野敏之代表取締役)が、県産をはじめとしたサツマイモのおいしさをアピールしようとオープンさせた。冷え込みが増すとともに、人気も高まっている。(千葉雅弘)
農産物を主に取り扱う同社。サツマイモは、取引先から干し芋の原料を作れないかと打診があったのをきっかけとし、平成29年ごろから北上市や雫石町、宮城県石巻市の生産者に委託して栽培を始めた。現在は、自社でも地元の日頃市町などで栽培している。
干し芋の原料となるサツマイモは形状やサイズを問わず出荷できる。その中で、〝見栄え〟の良いものも収穫される。浅野代表取締役(55)はこうしたイモに「付加価値を持たせることはできないかと考えた」といい、北上市の生産者とともに試験的に焼きいも販売を行い、好評を得たことから、地元での本格展開を決めた。
先月11日、国道45号沿いに、プレハブの店舗をオープン。口に出したくなるポップな店名とサツマイモの赤紫色をイメージした建物、そして気仙では珍しい焼き芋専門という業態が話題を呼び、連日多くの来店がある。
平日は県産と茨城県産の「紅はるか」や、「シルクスイート」を提供。甘味が濃く、ねっとりとした「蜜感」が特徴だ。土、日は、ほくほくした食感の「なると金時」「栗かぐや」「紅ゆうか」を数量限定で並べる。村上正店長(50)は「最近は『蜜』ブームだが、ほっくりした品種との食べ比べも楽しんでほしい」と勧める。価格は1㌘1・9円から。
熱々の焼き芋だけでなく、県内の人気店と連携したサツマイモのジェラートも近く取り扱いを始める予定。大みそかには「オールナイト営業」とし、年越しそばや焼き鳥も販売する計画という。
「岩手でおいしいサツマイモが育つことを広く知ってもらいたい」と浅野代表取締役。「この店が、若い世代が農業に興味を持ったり触れたりするきっかけ、産地や農業を盛り上げる起爆剤の一つになれば。今後も社業を通じ、産業や地域に貢献していきたい」と見据える。
営業時間は、平日が午前11時~午後6時、土、日は午前10時~午後6時。火曜日定休。問い合わせは浅野(℡26・3124)へ。