北限のゆず 本年度収量 過去最高に 19日時点で11・9㌧ 前年比2倍超の豊作

 陸前高田市の特産「北限のゆず」の本年度収量が、19日時点の速報値で11・9㌧に達し、過去最高となることが分かった。ユズは豊作の表年と不作の裏年を交互に繰り返すといい、本年度は豊作の木が多かった。収穫最終盤を迎えた中、伸び悩んだ前年の2倍以上となり、これまでの最高だった2年前の約10・5㌧も抜いた。(高橋 信)

 

11月に行われたゆず狩りサポーターによる収穫作業の様子

 ブランド化を推進する北限のゆず研究会(佐々木隆志会長)による収穫は、11月初旬にスタート。県内外のボランティア「ゆず狩りサポーター」による収穫イベントも計7回実施した。
 ユズは隔年結果の果実とされ、同研究会によると、昨年度多かった不作の木が豊作に転じ、収量増につながった。東日本大震災後に植えた「新植樹」の成木も良好に実った。
 昨年度は5・37㌧に終わったが、本年度は通算2度目となる2桁台を突破。降雨の影響で見送られた広田町や米崎町の一部園地を済ませれば、今シーズンの収穫が終了し、最終的には12㌧を超える見込みとなっている。
 200年以上前から栽培され、生産地の北限とされる気仙産のユズ。研究会は陸前高田市内の農家や障害者支援施設などで構成し、県内外の物産イベント出店などを通じてPRに取り組んでいる。
 平成25年以降の年間収量は2・14㌧~10・53㌧。大手酒類製造メーカーからも引き合いがあり、需要は堅調な一方で、高齢化などを背景に栽培管理が行き届かない木が目立ち、安定生産が大きな課題となっている。
 研究会は令和4年度、計画的に増産するための基礎データとしようと、陸前高田市全域と大船渡市の一部を対象地域に、初となる園地調査を実施。その結果、生産者数は182人で、木の本数は少なくとも約880本あることが分かった。
 研究会は来年2月、「北限のゆずを楽しむ会」を開催し、関係者とともに収穫を喜び合う。将来的な収量目標は年間30㌧を掲げている。
 佐々木会長(64)は「間もなく冬至を迎え、各家庭でもユズが登場すると思う。そんな中、今季は豊作となってうれしい半面、来年は厳しいことが見込まれる。安定生産が最重要課題で、ブランド化推進とともに、収量増に向けた取り組みを検討していきたい」と話している。
 年間の収量実績は別掲の通り。