2023気仙この一年/記者の取材ノートより③ 新型コロナウイルス 「5類移行」で大きな転機に 管内の年間公表患者数は3250人

▲ 5類移行後も重症化予防のワクチン接種は継続(6月2日、大船渡市民体育館)

 国内での流行拡大から4年目を迎えた新型コロナウイルスは、今年大きな転機を迎えた。
 政府は3月13日、新型ウイルスの感染対策として推奨したきたマスクの着用について「個人の判断に委ねる」として緩和。学校では4月から適用された。一方で、政府では緩和後も、体調不良時をはじめ、医療施設や高齢者施設などを訪れる際のマスク着用を推奨している。
 5月8日には、感染症法上における新型ウイルスの位置づけを、医療機関などが全感染者を届け出なければならない2類から、指定医療機関が患者の発生を届け出る5類へ移行。感染患者らに対する療養等の制限撤廃や医療費の一部負担など、個々の自主的な取り組みを基本とする対応に転換された。
 10月には、治療薬や感染に伴う入院医療費にかかる公費負担も見直された。一方で、感染状況はいまだに収束のめどが見えない状況が続く。
 県が公表した1月1日から12月17日までの累計患者数のうち、気仙は3250人。5類移行前は1700人、移行後(指定された5医療機関からの報告数)は1550人。
 クラスター(感染者集団)の発生総数は22件。場所別では、高齢者施設12件、医療施設と教育・保育施設各4件、学校2件だった。
 重症化予防を目的としたワクチン接種は、5類移行後も特例臨時接種の延長として自己負担なしで実施。65歳以上と、生後6カ月以上で基礎疾患、または重症化リスクがある人には努力義務を規定した。
 気仙3市町では、2月から9月にかけて春開始接種を展開。2回以上接種し、前回から3カ月以上が経過した65歳以上や基礎疾患がある人らを対象とした。同月下旬からは、追加接種可能な全ての年齢を対象に秋開始接種を行っている。

 

物価高騰も踏まえ支援強化

 

 各市町では、新型ウイルスや物価高騰の影響を踏まえ、各種支援策に取り組んだ。大船渡市では事業者向けに7月、キャッシュレス決済ポイント還元事業を行い、8月からは市内中小企業者の事業継続に向けた緊急支援金を交付した。
 陸前高田市は、低所得者や事業者らに向けた支援策を強化。陸前高田商工会や住田町は、プレミアム率50%の商品券発行事業を行い、消費拡大や事業者の経営継続に一定の効果をもたらしている。

 

インフルエンザなども流行

 

 気仙では今年、新型ウイルス以外にもさまざまな感染症が猛威を振るった。
 季節性インフルエンザは、県内で10月上旬に流行入りし、11月の中旬に注意報、下旬には流行警報が発令された。気仙では、今月4~10日の週に1医療機関当たりの患者数が今季最多となる「56・60人」を記録し、現在も感染拡大が続いている。
 このほか、子どもたちを中心にウイルス性咽頭炎・ヘルパンギーナや咽頭結膜熱なども流行した。