2023気仙この一年/記者の取材ノートより④産業 サンマ漁 数量増も低水準 養殖や風力発電など新事業展開も 

▲ 数量は前年超えを果たしたサンマ漁(10月14日)

サンマは数量増、マグロの大漁も

 

 近年、不漁の影響で苦境が続く水産業。大船渡市魚市場への11月30日現在のサンマ水揚げ量は、前年同期比23%増の3770㌧。三陸沖に漁場が形成されるなど2年連続で前年を上回ったが、令和元年と2年の6000㌧台にはほど遠く、東日本大震災の影響が大きく残っていた12年前(平成23年)の2割にも満たない状況。今季も、数量、金額とも全国2位で、本州ではトップを維持する見込みとなった。
 一方、4月には、気仙沿岸の定置網から1日だけで1本平均約100㌔のクロマグロ265本が水揚げされ、堂々たる大物が場内を埋めた。かつてない豊漁で活気づいたが、一気に県が示す本年度の漁獲枠の上限に近づき、漁船漁業関係者らが対応に追われた。


広田湾でギンザケ試験養殖を展開/陸前高田

 

 陸前高田市の広田湾漁協と水産大手の㈱ニッスイは、広田湾でギンザケの海面養殖事業化を見据え、試験養殖に取り組んでいる。
 市によると、試験養殖場は広田漁港沖などの旧定置網漁場で、直径25㍍の円形海面いけす2基を設置する。稚魚を海面で育て、来年6、7月ごろの水揚げを予定。生産量は200㌧を見込んでいる。
 試験養殖を1、2年間程度実施し、周辺の海況や他の漁業活動への影響を確認したうえで、正式な事業に移行する構想。同社が立ち上げた子会社が漁協組合員となって操業し、将来的には年間数千㌧の生産を目指している。
 同市の特産「広田湾産イシカゲ貝」の今季出荷量は前年比25・4㌧減の58・6㌧で、計画の77%にとどまった。貝のへい死の大量発生が原因で、海水温上昇の影響とみられる。ホタテ貝も漁協から市に対し、一部漁場でへい死が相次いでいるとの報告があった。
 同市の特産「北限のゆず」は今月19日時点の今季収量が約11・9㌧(速報値)に上り、過去最高となった。伸び悩んだ前年(約5・4㌧)の2倍以上となり、これまでの最高だった2年前の約10・5㌧も抜いた。


吉浜地区太陽光で環境アセスメント/大船渡

 

 大船渡市三陸町吉浜地区の大窪山市有地などで計画されている大規模な太陽光発電事業を巡り、民間事業者は7月、県条例に基づく環境アセスメントの手続きを明らかにした。事業に反対・不安を示す住民もいる中、科学的根拠に基づく評価などをもとに、安全性への理解を広げる方針。方法書や準備書作成に伴う住民説明会、審査会審議、市の総合判断など、着工可能となるまで長期間を要する見込みとなった。


大規模風力発電が運転開始/住田

 

 再生可能エネルギー事業を手掛ける㈱グリーンパワーインベストメントが住田と遠野の両市町境に整備した大規模風力発電所「住田遠野ウインドファーム」の商業運転が5月に始まった。出力4200㌔㍗の風車を住田側に10基、遠野側に17基設置。全体の出力規模は11万3400㌔㍗で、県内最大規模。一般家庭の約8万4000世帯分の電力供給に相当し、年間約10万㌧の二酸化炭素削減効果が見込まれる。