2023気仙この一年/記者の取材ノートより⑦気象・災害 記録的な猛暑 生活にも影響 津波、大雨・洪水への備えも
令和5年12月29日付 1面

今年の夏は全国的に厳しい暑さとなり、気仙も記録的な猛暑に見舞われ、住民生活にも影響を与えた。
高温の予兆は春先から現れ、盛岡地方気象台によると3、4、6の各月に大船渡と住田の月平均気温が観測史上1位に。大船渡市は3月27日、平成8年の観測開始以来2番目に早いサクラの開花を宣言した。5月18日には、大船渡と住田で今年初の「真夏日」が観測された。
夏本番を迎えた7月は、大船渡と住田の7月の月平均気温と日最高気温が歴代1位を更新。30日には大船渡で37・0度と、観測史上1位の値に並ぶ最高気温を記録した。
8月は、月を通して気温がかなり高い日が続き、真夏日は住田が26日間、大船渡が24日間といずれも観測史上最多に。住田では「猛暑日」を2日観測した。
夕方から翌日朝までの最低気温が25度以上の「熱帯夜」となった日は、大船渡で12日間、住田で6日間。大船渡と住田の月平均気温は観測史上最高となり、通年1位の値も更新した。
熱中症警戒アラートも連日発表
熱中症の危険性が極めて高いことへの注意を促す「熱中症警戒アラート」も連日発表された。8月における県内へのアラート発表回数は、令和3年が6回、同4年が0回だったのに対し、今年は19回と大幅に増加した。
記録的な猛暑を受け、気仙では救急搬送後に熱中症と診断された人が急増。保育施設や学校ではアラートや暑さ指数を参考に、熱中症対策が取られた。
少雨で綾里川ダムの貯水量低下 大船渡
大船渡市では3月、少雨の影響で三陸町綾里にある綾里川ダムの貯水量が低下。綾里(小石浜、砂子浜を除く)と赤崎町合足で約2000人が利用する綾里簡易水道の水源でもあり、住民生活に影響した。
水道水などに利用するためのダムの容量は、27万2000立方㍍。23日には約2000立方㍍、貯水率0・7%にまで低下し、市は地域住民に節水を呼びかけ、ダム深層部からの取水時には仮設水槽などによる給水で対応した。その後水位は上昇し、4月1日に安定供給のめどが立った。
避難など防災対策の充実図る
県が昨年公表した最大クラスの津波浸水想定を踏まえ、大船渡市は4月に新たなハザードマップを作成。全面的な更新は平成25年以来10年ぶりとなった。また、県は8月、気仙両市を含む県内の浸水想定エリアを〝警戒避難体制を特に整備すべき区域〟とする「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」に指定した。
県は3月、大船渡市三陸町越喜来を流れる浦浜川を「水位周知河川」に指定。大雨などの際、水防団の活動や住民避難開始の目安となる情報を周知する。
8月には、気仙圏域を流れる2級水系(13水系25河川)で水害対策を行うための「気仙圏域流域治水プロジェクト」を策定した。