数量回復に期待込めて 市魚市場が年内最終営業 「特別採捕」マイワシ今季初水揚げも(動画、別写真あり)
令和5年12月30日付 1面

大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)が運営する大船渡市魚市場は、29日が年内最後の営業となった。マイワシのうち、小型サンマ船が集魚灯を使って漁獲する火光利用敷網漁の特別採捕による水揚げは今季初で、47㌧に達した。関係者は新年の水揚げ回復に期待を込めた。
水揚げ作業は、午前6時すぎから本格化。定置網船から、網で次々と魚が移された。ベルトコンベヤー上での選別や、フォークリフトによる魚が入ったタンクの移送など、関係者が作業に追われた。
南側岸壁には、20㌧超のマイワシを漁獲した2隻が接岸。このうち、釜石市の「第二十八明神丸」(栗澤重之漁労長、19㌧)は前日夜から大槌町沿岸で操業し、1匹120㌘を超える型の良い魚体が目立った。
漁は今月後半からで、大船渡市魚市場での水揚げは初めて。栗澤漁労長(61)は「もう少し早い時期なら良かったが、まとまってくれた。水温も下がってきた。年が明ければ、量が増えてくるのでは」と話していた。入札の結果、マイワシは1㌔150円~93円で取り引きされた。
場内では箱入りのイカやドンコに加え、年末年始の食卓を飾るホタテやナマコなども並んだ。集まった買受人らは、じっくりと品定めするとともに、水産振興を支えた1年間の業務をねぎらい合った。
大船渡魚市場によると、今年12月28日までの本年度実績は、数量が1万4494㌧で、金額は45億7701万円。前年同期と比べ、数量は3700㌧超下回った一方、金額は微増となっている。
4月に、定置網船から1日だけで平均約100㌔のクロマグロが265本水揚げされるかつてない大漁に沸いたが、全体数量は前年度実績の3分の2にとどまった。イワシやサバの巻き網船も伸び悩んだ一方、大型サンマ船や、かご漁、イカ釣りなどが前年度を上回った。
同社の佐藤光男専務は「(イワシやサバ、サンマなど)多獲性魚種の水揚げが振るわず、物量が足りないことで、買受人や物流などの仕事にも影響があり、苦しい1年になった。マイワシがようやく入ってきたので、年明けの回復に期待したい」と話す。
年明けの営業は4日(木)から。営業開始にあたり、恒例の初売り手締め式が行われる。