2023気仙この一年/記者の取材ノートより⑧事件・事故 ツキノワグマ目撃相次ぐ 火災、事故、飲酒運転が増加
令和5年12月30日付 1面
大船渡市では人的被害発生
全国的に人里への出没が相次いだツキノワグマ。気仙でも4月に入って目撃が増加し、本年度の目撃件数は26日現在で、大船渡市が117件(前年度比69件増)、陸前高田市36件(同19件増)、住田町40件(同3件増)といずれも増加傾向にある。
被害件数は大船渡市13件、陸前高田市3件、住田町7件。
大船渡市では、今月5日に立根町字関谷の市営住宅敷地内で、40代男性がクマに襲われ、頭や背中を負傷する被害が発生したほか、トウモロコシやカキなど農作物の食害、コンポストが荒らされる、屋外の水槽で飼育していた魚が被害に遭うなどのケースがあった。
陸前高田市では養蜂用の巣箱が壊されたほか、リンゴやカキの木が被害に遭った。住田町では倉庫や肥料袋が荒らされ、クマの痕跡が確認された事案が4件あった。
大船渡市においては、今月中旬にも目撃情報が寄せられており、市農林課では「冬眠に入っていない個体もいる可能性がある」と注意喚起する。
前年を上回るペースで火災発生/大船渡市
大船渡地区消防組合消防本部と陸前高田市消防本部によると、今年の火災発生件数は、27日現在で大船渡市18件(前年比10件増)、陸前高田市7件(同1件増)、住田町2件(同1件減)で、大船渡市における大幅な増加が目立っている。
火災による死者は気仙3市町で5人。
2月に大船渡市盛町での住宅火災で90代女性、10月に住田町上有住での車両火災で80代男性が犠牲となった。今月14日には、陸前高田市高田町で住宅火災があり、60代と50代の兄弟が亡くなった。
このほか、27日に住田町上有住で豚舎2棟を焼く火災があり、飼育されていたブタ約600頭が焼け死んだ。
2件の単独事故で2人死亡
大船渡警察署管内における交通事故発生状況は27日現在、人身事故50件(前年同期比2件増)、傷者55人(同2人増)、物損事故843件(同29件減)。死者は2人(同1人減)で、いずれも単独事故。
死亡事故の1件目は、年明けすぐの1月、住田町世田米の国道107号で発生。60代男性運転の軽トラックが道路左側の田んぼに逸脱した。
2件目は3月、大船渡市末崎町の細浦漁港で、90代男性運転の軽トラックが海に転落した。
大船渡市ではこの事故以来、死者が発生しておらず、今月21日で死亡事故ゼロ日数が9カ月となったことから、県警察本部長からの賞賛状が伝達された。住田町では、来年1月で死亡事故抑止1年を迎えることから、交通安全関係者らが気を引き締めて活動にあたっている。
また、大船渡署管内では今年、飲酒運転の検挙件数が増加。同署交通課の分析によると、発生状況は16件(前年同期比9件増)と倍増しており、交通事故が端緒となって検挙に至った事案が8件、警察官の職務質問によるものが6件だった。
検挙場所は、大船渡市12件、陸前高田市、住田町が各2件。飲酒状況は「自宅で1人」が多数を占めた。
こうした状況を受け、同署では飲酒検問や酒類を提供する飲食店などへの広報を強化するなどして、飲酒運転根絶へ向けた取り組みに力を入れる。
特殊詐欺関連の相談件数が増加
大船渡署管内では11月から、高額な電子マネーの購入にかかる相談が急増。中でも、インターネット閲覧中にうそのセキュリティー警告などを表示し、お金をだまし取る手口の「サポート詐欺」が大半を占めており、電子ギフト券を販売しているコンビニエンスストアなどでは、警察との特殊詐欺水際阻止訓練や、購入しようとする客に対して、特殊詐欺かを確認するためのチェックシートを提示した接客を実施するなどして、被害防止に向けた取り組みを推進する。