2023気仙この一年/記者の取材ノートより─総集編─ 令和5年 きょう閉幕 相次ぐ「4年ぶり」に活気 記録的な猛暑や不漁も影響
令和5年12月31日付 1面

令和5(2023)年も、きょうを残すのみ。東日本大震災から12年目となった今年は、新型コロナウイルスの感染症法上における位置付けが「5類」に移行して各種制限が緩和され、4年ぶりとなる行事が相次ぎ、活気をもたらした。天皇・皇后両陛下をお招きしての全国植樹祭開催、古里の星・佐々木朗希投手の世界舞台での活躍など明るい話題の一方、物価高騰や不漁が住民生活に影響をもたらし、記録的な猛暑にも見舞われた。今年の気仙を月ごとの主なニュースで振り返る。(文中の年齢や肩書きは当時)
1月
▽第48回東海社会文化賞に、チェーンソーアートを通じて林業振興や地域活性化に取り組んでいる住田町の「SUMITAチェーンソーアート杣遊会」が決定
▽千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(21)=陸前高田市出身、大船渡高出=が第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に
▽住田町世田米を流れる気仙川で架け替え工事が進む昭和橋の解体が完了
2月
▽任期満了に伴う陸前高田市長選で、元農林水産省職員の新人・佐々木拓氏(59)=広田町、無所属=が、3期目の現職・戸羽太氏(58)=高田町、同=を破り初当選
▽大船渡税関支署の令和4年輸出入総額が357億3800万円となり、過去最高額に
3月
▽大船渡市立第一中学校の新校舎が完成
▽東日本大震災から12年。気仙各地で追悼行事
▽千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手がWBC1次リーグのチェコ戦、準決勝のメキシコ戦に先発して力投。日本の優勝、世界一奪還に貢献
▽陸前高田市立博物館が収蔵する「陸前高田の漁撈用具」3028点が国の重要有形民俗文化財に
4月
▽住田町が気仙初となる「医療的ケア児等在宅レスパイト事業」を開始
▽令和4年度の大船渡港コンテナ貨物取扱量(実入り)が2年連続で3000TEU台に。輸入は過去最高を記録
▽大船渡市魚市場に100㌔超のクロマグロが1日だけで265本水揚げ。過去に例がない〝大大漁〟に
▽大船渡市が令和6年3月の完成・除幕式を目指す東日本大震災追悼施設を大船渡町のみなと公園展望広場内に整備する方針を決定
5月

コロナ禍を乗り越え多彩な余興奉納が繰り広げられた加茂神社式年大祭=大船渡市
▽大船渡市大船渡町の加茂神社が式年大祭挙行。市内では4年ぶりにGWに祭り絵巻が繰り広げられた
▽新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられ、気仙でも感染対策を緩和する動き進む
▽クマによる人身被害が多発していることを受け、県が県内全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発表。気仙でも出没情報が相次ぐ
▽住田町世田米に「仕事と学び複合施設」(イコウェルすみた)がオープン
6月

本県で49年ぶりに開かれた全国植樹祭=陸前高田市
▽「第73回全国植樹祭」が天皇・皇后両陛下ご臨席のもと、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開かれた。即位後初めて気仙を訪問された両陛下は大船渡、陸前高田両市を視察され、東日本大震災からの歩みを確認された
▽東日本大震災からの復興を観光面から支えたJR東日本の「SL銀河」が最後の運行を終了し引退
▽陸前高田市と姉妹都市協定を結ぶ米クレセントシティ市から4年ぶりに訪問団
7月
▽令和4、5年度の入学者数が募集停止判断要素となる20人を割った県立住田高校について、県教委が6年度の入学者も継続して募集する方針が明らかに
▽大船渡市で30日、日中最高気温が37・0度となり、平成27年8月5日、平成19年8月15日と並び、観測開始以来最高を記録
▽大船渡と住田の7月の月平均気温と日最高気温が歴代1位の記録を更新
8月
▽東日本大震災で被災し、身元不明となっていた遺体のうちの1人の身元が陸前高田市気仙町に住んでいた女性(当時83)と判明
▽住田町上有住で滝観洞観光センターの受付棟新築工事が本格化。令和6年4月オープン目指す
▽大船渡と住田の8月の月平均気温が歴代1位の記録を更新。「真夏日」の日数は住田が26日間、大船渡が24日間で、どちらも観測史上最多に
9月

3期連続の無投票に終わった住田町議選
▽任期満了に伴う陸前高田市議選(定数16)は現新計19人で争われ、現職13人、新人3人が当選
▽新区割りで行われた県議選で大船渡・陸前高田選挙区(定数2)には現新計3人が立候補し、無所属現職・千葉盛氏(40)=大船渡市=が再選、自民党現職・佐々木茂光氏(65)=陸前高田市=が4選を果たす
▽任期満了に伴う県知事選で、無所属現職・達増拓也氏(59)が無所属新人を破り、歴代知事として初の5選果たす
▽大船渡市三陸町吉浜の市有地を中心に太陽光発電事業を計画している自然電力㈱が環境影響評価方法書に基づく説明会を市内2会場で開催。両会場とも事業に反対・不安を示す意見が相次ぐ
▽任期満了に伴う住田町議選(定数12)で現職11人と新人1人が無投票当選。無投票は3期連続に
▽東日本大震災後営業を休止していた陸前高田市小友町の県立陸前高田オートキャンプ場が「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」としてリニューアルオープン
10月
▽住田町婦人消防協力隊が気仙で初めて「全国女性消防操法大会」に出場
▽陸前高田市が給付型奨学金の運用開始へ
▽県と大船渡市の盛川漁協が盛川で組合員が漁獲した天然アユを買い取り、市内飲食店に販売する仕組みづくりに本格着手
▽大船渡中学校と末崎中学校の統合に向けた大船渡・末崎地区学校統合推進協議会が両校の統合時期を「令和7年4月」とすることで合意
11月
▽陸前高田市立博物館がフランスの彫刻家ロダン作のブロンズ像「考える人」の展示を開始
▽陸前高田市が災害時に支援が必要な市民らに対して避難情報を自動音声で一斉に電話発信する「オートコール」と、安否状況を把握するAI機能を組み合わせた情報伝達システムの本格運用を開始。防災分野では全国初のシステム
▽大船渡市が東日本大震災追悼施設整備の名称やデザイン、構造を公表。主要構築物の名称は「祈りのモニュメント」に
▽大船渡中と末崎中の統合校の校名が「大船渡中」に決定
12月
▽県内で流行警報発令中のインフルエンザが気仙でも猛威振るう
▽日本ジオパーク委員会が気仙3市町を含む三陸ジオパークについて再認定を決定
▽大船渡市が三陸町越喜来にある「遊・YOU・亭夏虫」の運営を令和5年度で終了する方針示す
▽大船渡へのサンマ水揚げ量(11月30日現在)が前年同期比23%増に。数量、金額とも本州トップ、全国2位を維持したが、低水準のままほぼ終漁
▽大船渡への秋サケ水揚げ量(12月上旬時点)が前年同期比83・3%減に。深刻な不漁が続く