かつての学びやで同級会 越喜来中の卒業生 甫嶺復興交流推進センターに集う 飲食・宿泊楽しみ再会満喫(別写真あり)
令和6年1月6日付 7面

大船渡市三陸町越喜来の甫嶺復興交流推進センターで2日、平成24年度の越喜来中学校卒業生による「同級会」が開かれた。同センターは旧甫嶺小学校を改修して宿泊や各種イベント利用に対応しており、ともに飲食を楽しんだ後、出席者の半数以上が宿泊。居心地の良さを体感しながら、かつての学びやを生かした施設のさらなる活用に期待を込めた。(佐藤 壮)
かつての学びやに甫嶺小の同級生4人全員がそろい、笑顔を交わした
成人式以降はコロナ禍もあって再会が難しかった中で「年祝い前に顔を合わせようと」と声をかけ合い、卒業生22人中12人が出席。かつて音楽室だったスペースに食べ物などを持ち込み、こたつに入りながら歓談を楽しんだ。
同センターの指定管理を担っている㈱三陸アクティブ(鈴木健悦代表取締役)では、カラオケ機器も用意。肩肘張らずにくつろぎ、終始和やかな雰囲気に包まれていた。
同級会の代表役を務めた地元・甫嶺在住で漁業を営む熊谷優汰さん(26)は「地元に住んでいて、センターを使ってみたい気持ちがあった。ここならば、帰りの心配をせずに酒も楽しむことができる」と笑顔を見せた。出席者のうち、7人が宿泊スペースも利用した。
令和2年閉校の越喜来中は主に越喜来小、崎浜、甫嶺小を卒業した児童たちが通った。同級生のうち、東日本大震災前年の平成22年春まで甫嶺小児童だったのは熊谷さんを含め4人で、同日はその全員がそろった。
廊下など学びやの面影が残る空間では、懐かしさに浸った。中田春菜さん(26)=千葉県富里市=は「宿泊できる施設になったと聞いていたが、入ると、当時とあまり変わっていないと感じた」、菅原真梨さん(26)=神奈川県茅ヶ崎市=は「私たちも楽しく有効活用できることが分かった」、坂本一生さん(26)=秋田県大館市=は「また使いたい気持ちになった」と、それぞれ話していた。
甫嶺小は明治6年1月に創立。震災で被災した越喜来、崎浜の両小が間借りし、震災翌年の3校統合後は越喜来小校舎として利用。平成28年11月に高台の新校舎が完成し、空き校舎となった。その後、地域活性化の新たな拠点として市が整備し、同センターは令和2年10月にオープンした。
かつての校舎1階は地域活動などの交流拠点、2階は宿泊施設となっている。グラウンドは、同市の合同会社TXF(福山宏代表社員)によって、BMXなどが楽しめる環境になった。
コロナ禍に苦しんできたが、本年度は昨年12月までに約570人が宿泊で利用。すでに前年度実績に並び、最近はオートバイライダー向けのPRに力を入れ、インターネットによる申し込みも増えている。
鈴木代表取締役は「同級生みんなに声をかけ、集まるイベントでの利用は今回が初めて。三陸鉄道の甫嶺駅からも近い。今後も幅広く利用してほしい」と語り、期待を込める。