5年観光客120万人突破 11月末時点の市まとめ 震災後最多の4年を上回る

 陸前高田市の令和5年の観光入込客数が、昨年11月末時点の速報値で120万人を突破し、東日本大震災後初めて100万人を超えた4年実績を上回った。新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和された5年。市内随一の集客力を誇る道の駅高田松原は堅調に人を呼び込み、夏の海水浴場もにぎわった。市が本年度内に策定する市まちづくり総合計画後期基本計画の素案では、年間150万人の受け入れを目標に掲げており、今後の誘客策に注目が集まる。(高橋 信)

 

前年の2.4倍の人が訪れた高田松原海水浴場

 市によると、5年の延べ人数は昨年11月現在、一部施設の未報告分を除いて累計120万2492人。新型ウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、平時へと転換されたのが「追い風」となったとみられる。4年の112万7013人を超え、震災後最多を更新した。
 月別では、海水浴シーズンに当たる8月の20万1964人が最多。三陸花火競技大会、市産業まつりが開催された10月の13万9411人、ゴールデンウイークの5月の13万8569人などと続く。観光閑散期である冬季の1、2月はともに5万人台で、3~11月は8~20万人台で推移した。
 施設別では、道の駅高田松原の62万7300人が最多で、2番目に多い震災津波伝承館の23万9467人の約2・6倍に上った。
 高田松原、広田の両海水浴場は、昨年7月中旬から8月下旬まで開設。うち高田松原はバーベキューエリアなどを新設したほか、民間会社による東北初の海上アスレチックが開設され、来場者数は1万9532人と、前年の約2・4倍に増えた。
 昨年9月には、東日本大震災後営業を休止していた小友町の県立陸前高田オートキャンプ場が、「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」としてリニューアルオープン。大手アウトドアメーカーの㈱スノーピークが運営し、10月の宿泊客数は約1500人だった。
 三陸花火大会、三陸花火競技大会(ともに実行委主催)来場者は、春の三陸花火大会(4月30日)が5000人、秋の競技大会(10月8日)が1万3000人だった。市産業まつりは1万1000人で、前年比1000人増だった。
 入込客数は平成元年以降、年間100~180万人台で推移。震災で甚大な被害を受けた影響で、発災年の23年は20万人程度に急落し、それ以降、復旧・復興の進展を背景に回復傾向にあった。
 令和元年には、道の駅高田松原や震災津波伝承館を含む高田松原津波復興祈念公園が開園し、前年比1・8倍の87万1281人に伸ばした。高田松原海水浴場が復活した3年は98万3403人と100万人台に迫り、市立博物館が開館した4年に大台を突破した。
 市まちづくり総合計画後期基本計画は令和6~10年度の5年間を計画期間とし、素案では観光振興推進の成果指標項目に、観光入込客数を盛り込む。4年度の119万3000人を基準に、10年度までに30万人以上を増やし、年間150万人突破を目指すとしている。
 市観光交流課の熊谷直樹課長補佐は「5年は高田松原海水浴場の魅力が大幅に増し、スノーピークのキャンプ場がリニューアルオープンするなど観光客を呼び込む動きがみられ、数字にもつながって素直にうれしい。観光消費につなげることが課題であり、関係者とともに検討したい。7年には市街地へのホテルオープンも控えており、観光振興に結びつけたい」と見据える。
 市がまとめた観光入込客数の推移は別掲。