「二十歳のつどい」支えに感謝 気仙両市(別写真あり)
令和6年1月9日付 1面
気仙両市で7日、令和6年「二十歳のつどい」が開かれた。東日本大震災発生時、小学1年生だった若者たちは、震災の影響やコロナ禍を乗り越えて集まることができた喜び、家族や恩師への感謝を胸に出席。1日に発生した能登半島地震の被災地に思いも寄せながら、飛躍を誓い合った。(佐藤 壮、高橋 信、3面に関連記事)
思い出胸に飛躍誓う、256人出席 笑顔の再会/大船渡
喜びと感謝を胸に式典に臨む出席者
大船渡市の「二十歳のつどい」は、盛町のリアスホールで開かれ、対象318人のうち256人が出席した。
式では、冒頭、20歳を迎える前に亡くなった同級生や、能登半島地震の犠牲者らに黙とう。渕上清市長は「柔軟な発想でこれからを築いてほしい」と式辞を述べ、三浦隆市議会議長が祝辞でエールを送った。
記念品贈呈に続き、実行委員長の佐々木康大さん(20)=大船渡一中出身、東北学院大2年=と、委員の千葉蓮太さん(20)=同、会社員=が「二十歳の誓い」を発表。
佐々木さんは「夢をかなえるための努力は無駄にはならない。常に前向きなことを考えていたい」と決意。市内に一昨年整備されたアクアポニックスパークおおふなとでチョウザメ養殖などに携わる千葉さんは、震災やコロナ禍の影響を受けた小中高校時代を振り返ったうえで「できることを全力で取り組み、笑顔で卒業できた。人との関わりを大切にし、誰かを支えられる社会人になれるよう精進する」と述べた。
出席した西風佑南さん(19)=綾里中出身、東北芸術工科大2年=は震災で自宅が被災し、母・智子さんが犠牲になった。通っていた綾里小にも津波が押し寄せた。
会場では同級生との再会を喜んだ一方、能登半島地震の被災者にも思いを寄せた。「まずは命が優先で、まとまるのが大事だと思う。私たちも多くの支援を受けた。身近にできることから始めていきたい」と話した。
今年のつどいは2階席を一般参観向けに開放。約120人が訪れ、晴れ姿を目に焼き付けた。
夢への決意高らかに、150人出席 門出祝う/陸前高田
華やかな振り袖姿で笑顔をみせる若者たち
陸前高田市の「二十歳のつどい」は、高田町の奇跡の一本松ホールで開かれ、対象190人のうち150人が出席した。
震災犠牲者に黙とうし、佐々木拓市長が式辞、及川修一市議会議長が祝辞を述べた。記念品贈呈のあと、岩手県立大2年の菅野凌亮さん(20)=高田東中出身=と、会津短大(福島県)2年の藤原未彩さん(20)=同=が、それぞれ「二十歳の誓い」を発表した。
式典後の記念行事では、恩師からのビデオレター上映などが行われ、出身中学校のクラス別に集合写真を撮影した。
式典の進行役を務めた青森中央学院大(青森県)2年の大和田琉汰さん(20)=高田東中出身=は大役を終え、「非常に緊張した」と胸をなで下ろした。
将来は家業のカキ養殖に挑む道を思い描いており、「地元の産業なので頑張りたい」と決意する。旧友と久々に再会し、「気付けば20歳になっていたという感覚。昔と変わっている人と変わっていない人がいて楽しかった。立派な大人になるよう自覚を持つ」と語った。
震災で気仙町の実家を失った東北電子専門学校(宮城県)2年の菅野愛果さん(20)=高田第一中出身=は、県外の木材加工会社から就職内定を受け、今春社会人として新たな一歩を踏み出す。
震災後の住宅再建で住宅展示場を見学し、建築系インテリアに興味を持ったのが、専門学校に進んだきっかけ。「就職する会社は男性が多い環境で不安はゼロではないけど、目標を持って頑張りたい」と前を向き、「二十歳のつどいで同級生と会えて元気をもらった」と笑みを浮かべた。