防火・防災へ決意新た 気仙両市で消防出初め式

▲ 4年ぶりの通常開催となった出初め式で勇壮な纏振りを披露する消防団員ら=大船渡市
▲ 市街地で威風堂々とした行進を披露する消防団員ら=陸前高田市

 大船渡、陸前高田両市で14日、消防出初め式が開かれた。新型コロナウイルス感染症流行下では久しぶりとなる街頭での分列行進なども行われ、参加した消防団員らは今年一年の無火災や防災への誓いを発信した。(菅野弘大、阿部仁志)

 

纏振りや分列行進など4年ぶりに/大船渡

 

 大船渡市の令和6年消防出初め式は14日、盛町商店街とリアスホールで開かれた。コロナ禍を経て、4年ぶりの通常開催。多くの住民が観覧に詰めかけた中、消防団員による纏振りやラッパ吹奏、消防職・団員らの分列行進などで、火災や災害からまちを守り、地域防災の核として活動していく気概を示した。
 同市の出初め式は、新型コロナウイルス感染防止のため、令和3年は式典のみ、4年は中止とし、5年も式典のみの実施となった。
 今年は令和2年以来、4年ぶりにコロナ禍以前の形で開催。市消防団(大田昌広団長)と大船渡地区消防組合消防本部、大船渡消防署、三陸分署、綾里分遣所の約500人が出動した。
 同商店街では、市消防団の纏組(志田恵樹組長)が威勢の良いかけ声を響かせながら、練習を重ねてきた纏振りを披露。ラッパ隊(佐藤光春隊長)による演奏に合わせ、消防職・団員がきりりとした表情で商店街を行進した。沿道に詰めかけた住民らも、手を振ったり声をかけるなどして、消防関係者らの勇姿を目に焼き付けた。
 上野陽羽さん(大船渡小1年)・晴ちゃん(明和保育園年長)兄弟は「消防の人たちがかっこよかった」と憧れのまなざしを向けた。
 リアスホールに会場を移して行われた式典では、東日本大震災での消防殉職者や犠牲者、能登半島地震での犠牲者へ黙とうをささげたあと、統監の渕上清市長が「纏振りやラッパ吹奏、分列行進などから、心新たに地域防災の先頭に立たんとする団員の意気込みが伝わり、義勇と愛郷の精神は不変であると強く感じた。災害を想定し、実践に即した訓練を実施するなど、市民が安全で安心に暮らせる大船渡市の実現のため、たゆまぬ精進をお願いする」とあいさつ。
 次いで、同組合の武田吉宏消防長が「災害は激甚化、頻発化し、災害級の異常気象など、消防を取り巻く環境と住民ニーズはますます変化、多様化している。消防としての責務遂行のため、消防職・団員が一丸となって住民が安心して暮らせるまちの実現に全力で取り組んでいく」と諭告。大田消防団長は、4年ぶりの通常開催への喜びを口にしながら「地域防災力の中核として、地域との連携を深め、市民の防災教育、火災予防の浸透に尽力するとともに、安心、安全なまちづくりのため、創意工夫した訓練に励み、技術の向上に日々まい進する」と訓示した。
 このあと、所轄管内で無火災を達成した分団や長年の活動に尽力した纏組員、ラッパ隊員を表彰。来賓の三浦隆市議会議長、千葉盛県議、永澤幸雄大船渡警察署長がそれぞれ祝辞を述べた。
 最後に、纏振りと副統監の引屋敷努副市長の音頭で三本締めを行い、出席者全員で一年の火防を祈願した。
 被表彰者次の通り。
 【無火災分団表彰】
 ▽4期間=2分団
 ▽3期間=3分団、5分団
 ▽1期間=7分団、9分団、10分団
 【纏組員表彰】
 ▽功労証=白木澤慶(1分団)美野義史(同)佐藤英征(3分団)吉野優登(6分団)千葉文弥(7分団)伊藤大寿(同)金野晃洋(9分団)鈴木達也(同)中村崇嗣(11分団)
 【ラッパ隊員表彰】
 ▽功労証=渕上洸(1分団)千葉聖徒(同)新沼大介(3分団)新沼孝太(7分団)及川佳祐(11分団)

 

中心市街地での行進も堂々と/陸前高田

 

 陸前高田市消防出初め式は、高田町の奇跡の一本松ホールで開かれた。中心市街地での行進も行い、参加した消防職・団員らが安全安心なまちづくりに係る各種取り組みに向け一致団結することを誓った。
 年頭に消防職・団員が一堂に会し、郷土の防災に寄与する心構えを新たにする恒例行事。新型コロナウイルスの影響で令和3、4年は規模縮小、または中止を余儀なくされ、昨年は2年ぶりの式典、3年ぶりの市内行進を実施した。
 今回も、高田町のアバッセたかた周辺を回る市内行進が行われ、市消防団(大坂司団長)の団員308人や市消防団、市消防本部の車両約40台が出動。消防関係者のほか地域住民が行進を見守り、団員らの威風堂々とした姿を見て笑顔を広げた。
 同ホールでは式典に先立ち、消防団員と消防本部職員35人を前に大坂団長が「コロナの5類移行に伴い、令和6年は消防関係行事を通常通り行う。関係機関と協力し、消防力の維持、強化を図りながら、災害に強いまちづくりに向けて協力していきたい」と訓示。
 続けて行われた式典には、統監の佐々木拓市長と菅野泰浩消防長、来賓の及川修一市議会議長、佐々木茂光県議らが出席。
 佐々木市長は、元日に発生した能登半島地震における犠牲者に対し哀悼の意を示したうえ、「本市においても、災害発生時において被害を軽減し、一人でも多くの命を救うため、地域防災力を高めていくことが重要」と式辞を述べた。
 また、菅野消防長も全国で発生している大規模災害、事故に触れ、「一人の努力には限界がある。われわれ消防機関は、市民の付託に応えるため、まずは不測の事態に備える。地域に密着する消防団と行政が一丸となり、安全安心なまちづくりの構築に取り組んでいかなければならない」と告示した。
 次いで、無火災表彰が行われ、4期間無火災達成の気仙、3期間無火災達成の横田、2期間無火災達成の矢作各分団に功績賞を贈ってたたえた。