フリー乗降区間拡大を検討 市が6年度公共交通運行方針決める デマンド一部エリアは減便へ
令和6年1月21日付 1面

陸前高田市は、市内公共交通の令和6年度運行方針を決めた。路線バスなど市内7路線で停留所以外でも乗り降りできるフリー乗降区間の拡大を検討し、利用しやすくする。予約型乗り合いタクシー「デマンド交通」の小友・広田エリアは運転士不足を踏まえてこれまでの平日運行から週3日運行に減便する。同市と住田町を結ぶ県交通㈱の陸前高田住田線が本年度末で廃線となり、6年度からは別事業者が代替便を走らせる。(高橋 信)
運行方針は19日に高田町の市コミュニティホールで開かれた市地域公共交通会議(会長・戸羽良一陸前高田市理事、委員27人)で、素案が示された。市事務局が6年度の変更点などを説明し、原案通り決めた。
フリー乗降区間の拡大を検討するのは、▽生出線▽長部今泉線▽たかたコミュニティバス西部線▽同東部線▽広田線▽広田半島線▽陸前高田住田線代替交通──。
フリー乗降の適用エリア拡大は、自宅からバス停留所まで遠い人などのための措置。現在は通年同じダイヤで運行しているが、住宅が密集する狭い道路などを通る経路に改める方向で検討する。路面凍結などの恐れがある冬季は安全性を重視し、広幅員の道路を走行する。
デマンド交通の小友・広田エリアは運転士不足のため、運行日を火、水、木曜日の週3日に減らす。停留所は「滝の里」「むらかみ歯科」「平成歯科」「希望ヶ丘病院」の4カ所を廃止し、計20カ所に改めて効率化を図る。
同じくデマンド交通の気仙エリア、中平・坂下・小黒山エリアは現行通りだが、どちらも停留所を20カ所から19カ所に変更する。
陸前高田住田線は、住田高前からイオンスーパーセンター陸前高田店までを結ぶ総延長30・5㌔。平日に1日4往復しているが、運送需要減、慢性的な運転士不足を背景に本年度末で廃止となる。
両市町は住民の移動の足確保のため代替便を運行することとし、碁石観光㈱と㈲奥州交通が運行事業者を担う。現行の運賃は距離帯別だが、代替便は1乗車200円(小中高生、介護人100円、未就学児、障害者無料)。運行経費は両市町が負担し、運行本数は朝、午前、夕方の6便(3往復)とする。土曜日は現行通り、㈱住田交運が4便(2往復)を走らせる。
市は6~10年度の5年間を期間とする市地域公共交通計画について、本年度内の策定を目指している。計画案には、デマンド交通の運行システムに人工知能(AI)を取り入れる「AIデマンド」の導入を盛り込んでおり、計画期間中の実施を目指す。
公共交通を利用した際のポイント制度創設や陸前高田地域共通商品券との連動、買い物客への運賃割引など利用促進策も検討・実施していく。公共交通の一定期間乗り放題プランの導入も構想する。