2月に意見募集実施へ パートナー・ファミリーシップ宣誓制度 「事実婚」への対応も見据え

 4月1日(月)からパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の運用開始を目指す大船渡市は来月、基本方針案などに対して住民意見を募集する。パートナーシップは、婚姻制度利用が難しい2人が、日常生活で継続的に協力し合う関係を市に宣誓すると、市が受領証などを発行。ファミリーシップは、2人の子や親など、家族として協力し合う関係の宣言を受け付け、行政手続きやサービスの利用範囲が広がる内容となっている。
 パートナーシップは、同性カップルなど現在の婚姻制度を利用することができないか、または利用が難しい2人が相互を人生のパートナーとし、日常生活で継続的に協力し合う関係を宣誓したことを証明する。さまざまな悩みや生きづらさを抱える同性カップルにとどまらず、近年は性的マイノリティーを要件としない例が増えており、市がまとめた基本方針案でも「事実婚」への対応も見据えた内容となっている。
 独自の証明書発行で2人の関係性を対外的に説明しやすくなるほか、公営住宅への入居や医療機関での待遇など、さまざまな場面で各種サービスや社会的配慮が受けやすくなる。一方で、税法上の配偶者控除や遺族年金などは適用されず、子に対する共同親権を持つことはできない。
 ファミリーシップはパートナーであることを宣誓した2人の子や親などの近親者を含め、協力し合う関係の宣誓を証明する。法律上の権利・義務が生じるものではないが、制度を通じて互いの人権を尊重するとともに、多様性を認め合う社会づくりにつなげる。
 対象者は宣誓する2人が18歳以上で、少なくとも1人が市内に住所があるか、宣誓後3カ月以内に市への転入を予定していることが条件。配偶者や、宣誓する人以外とパートナーシップ関係がないことも求める。
 ファミリーシップは、パートナーシップを宣誓したどちらかの子か親が該当となる。15歳以上は本人同意が条件で、14歳以下は双方かどちらかと生計が同一でなければならない。
 書類審査を経て、予約日に宣誓する2人が来庁し、署名する。市からは、カード型の受領証などが交付される。性的指向・性自認を問わず、事実婚なども対象とする。
 市が提供する各種行政サービスのうち、納税相談や住民票交付などは、パートナーに代わって受領や照会・相続が可能。教育・保育給付認定申請、市営住宅入居、救急車への同乗、災害時の安否情報提供などに関しては、パートナーを家族とみなして制度運用できる。
 県営住宅への入居や、県立病院での面会手続き、病状説明など県のサービスにも対応する見通し。家族向けのサービスを展開する民間事業者にも、制度に基づく対応などについて協力を呼びかける。
 基本方針案は、19日に開かれた市議会全員協議会で説明。議員から案そのものへの反対意見はなかったが「市民だけでなく、庁内の職員も理解を深めなければいけない。秘密を許可なく他人に漏らす『アウティング』が問題になっている」といった意見が寄せられた。
 また、質疑の中で、市当局はガイドブック作成も進める方針を示した。