高齢者の避難を考える 広田町の泊お楽しみクラブ 災害想定しマップ作り
令和6年1月24日付 7面
陸前高田市広田町泊地区の高齢者でつくる「泊お楽しみクラブ」(西條正夫会長)は23日、同町の田端公民館で防災マップ作りを行った。昨年7月に同クラブが作った独居高齢者宅や空き家の位置が分かる住宅地図をベースに、災害発生時の避難行動について意見交換。市防災課職員の話にも耳を傾け、地域の実情に合った避難のあり方について考えを深めた。(阿部仁志)
津波や土砂災害の発生を想定した避難のあり方などについてアドバイスを送る中村課長(左から2人目)
同クラブは、高齢者の閉じこもり予防や地域交流の活性化などを目的に、多彩な活動を展開。この中では、平成23年に大きな被害をもたらした東日本大震災を教訓に、防災関係の集会も開いている。
昨夏は、地元の子ども会と協力し、クラブ会員と小学生、泊振興会役員らとともに同地区の住宅地図を作成。地図上には民家を示す折り紙を配し、独居高齢者や子どもがいる家、空き家などが分かるよう異なる色のシールを貼った。
同クラブでは、かねてこの地図を防災用のマップに〝バージョンアップ〟しようと計画。災害時に自ら避難することが困難な高齢者がいることを再認識し、大きな災害が起きたときに「どこに逃げられるか」を考える機会にしようと、今回の集会を設けた。
クラブ会員に加え、同町の自主防災組織役員や民生委員、市社協、陸前高田まちづくり協働センター関係者らが参加。中村吉雄市防災課長も招き、計18人で会を進行した。
前半は、昭和8年の昭和三陸津波と、東日本大震災津波が発生したときの地区住民の避難場所を確認。地図上にオレンジと緑のテープを貼って避難経路を視覚化した。
その後、県公表の最大クラスの津波浸水想定から市が作成した「津波ハザードマップ」をもとに、浸水想定エリアをピンクのテープで示した。避難ルートの大部分が津波浸水域に該当していることが分かり、クラブ会員らは、自分の体力や、起伏のある道路、土砂災害の危険があるエリアのことも考慮しながら、最善の避難経路を模索した。
中には「自分一人ではどこにも行けない」「何かあれば周囲の人に避難を手伝ってもらわなければならないが、人に頼むのもなかなか難しい」と訴える会員も。中村課長は「最悪の状況があるということを理解したうえで、諦めず、それぞれが助かる方法を考え続けてもらいたい」と語った。
志田シノブさん(83)は「津波の浸水想定エリアがこんなに広かったということをあらためて確認できた。年を取った人にとっては、車による避難を考えておくことも大切だと感じた」と話していた。
集会後には、クラブ会員以外で話し合う場面も設けられた。避難訓練については「避難所に来た人の数が訓練の参加者数と見られがちだが、要支援者が自宅のドアを開けて支援を待ったり、家の中で避難行動をとる人もいる」「避難のために動こうとした人がどれだけいたかということが大切」などと意見交換した。
同町の地域支え合い推進員で、同クラブ事務局の菅野タエ子さん(64)は「防災は地域全体で考えていかなければならない。また、言われたことをその通りにやるのではなく、地域住民一人一人が自分事として考えていくことが大事。今後も話し合いの機会を設けていきたい」と話していた。






