数量2割減、金額は半減 気仙沿岸の今季アワビ水揚げ実績 処理水放出影響や〝痩せ〟も多く
令和6年1月25日付 1面

県漁業協同組合連合会は、本県の今季アワビ実績をまとめた。気仙沿岸の漁獲実績(1号品)は、本年度第1期(昨年11月)と第2期(同12月)を合わせ、前年度比21%減の14・90㌧。金額は1億736万円で、ほぼ半減となった。福島第一原発の処理水海洋放出に伴う中国の禁輸措置などが影響したほか、漁に出た漁協関係者からは「痩せアワビが多い」との声が聞かれ、厳しい実績に終わった。
気仙地区をみると、第1期の水揚げ数量は8・06㌧で、第2期は6・84㌧。前年度と比較し、第1期分は0・76㌧、第2期分は3・15㌧それぞれ下回り、累計では前年度から3・91㌧減少した。
各漁協では各月に1、2回程度の開口日を設定。11月、12月とも漁が行われたのは、大船渡市、越喜来、吉浜、広田湾の各漁協管内で、綾里漁協は12月のみとした。
昨年10月の第1期アワビ事前入札会では、10㌔当たりの平均価格が7万9503円で、前年の10万7000円台から26%下落。11月の第2期は6万1151円と、さらに落ち込んだ。
福島第一原発の処理水海洋放出開始を受け、中国が日本産水産物の輸入を停止した。アワビの主力市場である香港も、国内10都県の水産物輸入を禁止。岩手県は対象外となったが、香港で仕入れて中国に流通する分も一定数あるほか、香港の景気にも左右されるなど、単価はコロナ禍からの回復傾向に水を差す形で推移した。
また、今季漁に出た漁協関係者は「痩せアワビが多く、(単価が安い)2号品に回った割合は、多い地域で半分ぐらいあったのではないか。今年はとにかく、水温が高かった」と話す。
入札価格の低迷や数量減に伴い、金額は1期が6566万円、2期が4170万円で計1億736万円。2億1191万円だった前年度を大きく下回った。
県全体の水揚げ量は100・91㌧で、昨季から9・1%減少。第1期分が68㌧で昨季を37・2%上回ったものの、第2期分は32・91㌧と46・4%下回った。金額は8億9354万円で、約6億円減少した。
気仙地区のアワビ水揚げ数量は、平成25年度が77・2㌧(対震災前3カ年平均比12%増)、26年度が48・6㌧(同29%減)、27年度が47・2㌧(同31%減)、28年度が30・4㌧(同56%減)、29年度が18・2㌧(同74%減)で推移。
30年度は数量が11・5㌧(前年度比37%減)、令和元年度は8・1㌧(同29%減)で、2年度も減少に歯止めがかからず数量は7・3㌧(同10%減)となったが、3年度はようやく14・41㌧でほぼ倍増に。4年度は18・81㌧だった。