インタビュー気仙2024③未来への針路は/住田町消防団長・菊池実行さん(63) 一丸で「備え」万全に

 ──今月1日に能登半島地震が発生し、甚大な被害が出ている。こうした中、住田町では7日に消防出初め式が開かれ、関係機関が地域一丸となった地域防災力強化へと意識を高めた。
 菊池 新型コロナウイルス感染拡大の影響で各種消防行事が制限されてきたが、今回の出初め式では4年ぶりに分列行進が行われ、一体感を高めることができた。能登半島での地震を受け、規模の大・小はあるにしても、住田町でもいつかは必ず災害が発生するという考えのもと、防災に対して気を引き締めた。
 能登半島地震の情報を見ていると、初めは地震と津波で東日本大震災と同様の状況かと思ったが、地震による家屋倒壊や、被害の大きかった地域につながる道路が寸断されて孤立集落が出たりという状況もある。
 被災地域は住田町と似たような地理的条件もあることから、住田で地震災害や水害が発生した際の対応を考えていかなければならないと感じた。
 ──自然災害が激甚・頻発化する中、住民にとって身近な防災組織である消防団への期待は大きくなっている。団として、日頃からの災害への備えはどうあるべきと考えるか。
 菊池 コロナ禍で団員が集まる機会が減少してしまっていたが、有事の際には組織的な動きによるスムーズな出動が求められる即応体制を構築するため、当たり前のことを当たり前にできるように日頃から体制を整えておきたい。
 一方で、町内には住宅が密集している場所、土砂災害の危険区域に入っている場所もあるので、住民の皆さんにも、災害時の避難行動など、防災意識を高く持っていてもらえれば。町が発行している防災マップには危険箇所や避難場所なども掲載されているので、いざという時に冷静に行動できるよう、町民一人一人が防災への知識というものをしっかりと頭に入れておいてほしい。
 ──人口減少に伴って団員が減少し、確保も難しくなっている。対策は。
 菊池 団員の減少は全国的な課題。住田も、新規入団者が少ないために平均年齢が年々上がってきている。入団を呼びかけてはいるが人口に占める若者の割合は少なく、これから先も町内の人口が増加に転じるとは考えづらい。団員がさらに減っていけば、火災、災害時の初動体制にも影響が出かねない。
 ただ、人が足りないからといって何もしないのではなく、いる人たちで、できることをやるしかないと思っている。
 ──地域防災力強化には団だけではなく、行政、自治組織などまち全体で連携しての対応が必要となる。
 菊池 災害時、消防団は現場を動き回っているので、避難時の連絡やネットワークは自治組織、避難所の運営は町や住民が主に担うことになる。人口が少ない中ではあるが、役割分担をしながら災害時の体制強化を図っていく必要がある。
 ──この一年の防火・防災への意気込みは。
 菊池 基本的には災害が発生しないことが何よりの願いだが、今回の能登半島地震を含め、各地で災害が頻繁に発生し、その被害も激甚化している。
 東日本大震災の教訓でもあるように「今まで何も起きていないから大丈夫」ではなく、繰り返しになるが災害はいつでも起こりえるという意識を持って行動し、それを町民にもお願いしたいというのは強調しておきたい。
 いざという時の備えを徹底するためには消防団だけでなく、行政、住民、関係機関の情報共有も必要で、今まで以上に連携を密にしながら備えていければ。
(聞き手・清水辰彦)