松原再生の歩みを一冊に 植樹活動支えたベターリビングが記念誌作成 市に贈呈、小中学校にも配布へ(別写真あり)

▲ 高田松原再生の足跡をまとめた記念誌を手にする関係者

 東日本大震災で流失した陸前高田市の高田松原の松林再生を支援している一般財団法人ベターリビング(眞鍋純理事長)は27日、再生活動の歩みなどをまとめた記念誌を市に贈呈した。約7万本あったとされる松林は「奇跡の一本松」のみを残して失われ、現地での苗木4万本の植栽は令和3年に完了。記念誌は、地元とベターリビングをはじめとする関係機関・団体が力を合わせて展開した一連の再生プロジェクトを後世に伝える一冊となっており、今後、市内小中学校にも配布する。(高橋 信)

 

 記念誌贈呈イベントは同日、高田町のキャピタルホテル1000で行われ、佐々木拓市長や松林の再生に当たったNPO法人高田松原を守る会(鈴木善久理事長)役員、活動に携わってきた女優・谷花音さんら関係者約60人が出席した。
 佐々木市長は「高田松原再生の壮大な取り組みを記念誌という形で記録にとどめてもらった。記念誌は高田松原の再生のみならず、まちの真の復興に向けた道しるべとなる」と謝意を示した。鈴木理事長は「ベターリビングの温かく大きな支援をいただき、植樹が完了した。本当に感謝している」と語った。
 記念誌は正方形のA4変形サイズで、フルカラー38㌻。高田松原の歴史や震災による被害状況、再生活動の軌跡のほか、鈴木理事長や谷さんのインタビュー、活動に協力したボランティアのメッセージなどが掲載されている。
 「白砂青松」と称される名勝・高田松原。美林形成は江戸期を起点とし、以来、約350年の間、住民の手で守り育ててきた。
 昭和2年には日本百景に指定され、15年には名勝高田松原として国指定文化財に登録。毎年夏には海水浴客が大勢訪れ、市内外の人に親しまれる景勝地だったが、震災でほぼ消失した。
 新たな松苗の植栽エリアは防潮堤の第一線堤、第二線堤の間に設けられ、広さは約8㌶。県が3万本、守る会が1万本の計4万本を植える計画を立て、植樹が始まった。
 ベターリビングは、ガス事業者やガス機器メーカーと共同で推進している環境貢献活動「ブルー&グリーンプロジェクト」の一環で支援を展開。植栽する苗木1万本の寄贈をはじめ、植樹・育樹を支えた。
 記念誌の内容は近く同法人の公式ホームページにも掲載する予定。眞鍋理事長は「高田松原の松林が最終的に完成するのは40、50年かかるとされている。末永く再生の取り組みを見守るとともに、これからも応援していきたい」と述べた。