全量で5000TEU突破 令和5年の大船渡港コンテナ貨物取扱量 輸入利用が伸び過去最高に

 令和5年における大船渡港コンテナ貨物取扱量(全量、空コンテナ含む)は、前年比46・3%増の5309TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)で、過去最高を更新した。住宅建材など、輸入利用が好調に推移したのが主な要因。輸入はやや伸び悩み、空コンテナの割合が増えているが、県産材の輸出拡大の動きもあり、関係者は今後のさらなる利用拡大に期待を込める。(佐藤 壮)

 

輸入を中心に好調な利用が続く

 市によると、全量で5000TEUを超えたのは、平成19年の定期航路開設以来初めて。これまでは令和3年の3994TEUが最高だったが、大幅に上回った。
 荷物が入っている状態の実入りも3468TEUで、前年比15・8%増加。3年の3352TEUも上回り、過去最高となった。
 全量実績のうち、輸入は前年から35%増加。すべて実入りで、東北を中心に仕向ける住宅建材の輸入利用が好調で推移している。荷物を運びやすい地理的な要因に加え、気候面に左右されにくく、寄港スケジュールが安定していることも好まれているという。
 輸出も全量実績では2374TEUと、前年比で86・6%増えた。一方、実入りは882TEUで13・3%減。5年ぶりに1000TEUを割り込んだ。
 実入りで輸入と輸出のバランスが合わず、空コンテナの輸送は1841TEUと、前年の634TEUから3倍近く伸びた。野々田埠頭では、蔵置スペースを拡張するといった対応が行われてきた。
 内航コンテナ静脈物流航路は、移入分が398TEUで、11・5%増加。首都圏で出た廃プラスチックなどを再生可能資源として太平洋セメント㈱大船渡工場に搬送する流れが定着した。
 大船渡港では平成19年度、韓国・釜山港との国際貿易コンテナ定期航路が開設された。23年の震災で休止となり、25年9月から外貿船が多数寄港する関東主要港を結ぶ国際フィーダーコンテナ定期航路の運航が始まった。
 現在は、オーシャンネットワークエクスプレス㈱が鈴与海運㈱と提携して運航。内航航路は「京浜港─仙台塩釜港─大船渡港─京浜港」で、大船渡港には週末に寄港し、京浜港で外航船に積み替え、各国に運ばれる。
 今年4月からトラック運転手の時間外労働が規制強化される「2024年問題」への対応や、地球温暖化対策として二酸化炭素排出量削減が叫ばれる中、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトが注目されている。現状では輸出面では苦境が続くが、本年度は医療関連製品で新たな荷物を開拓するなど、増加への期待が高まっている。大船渡港は冷凍コンテナにも対応しているため、水産物利用も注目される。
 輸送に必要なハーバークレーンやリーチスタッカーの管理運営などを担う大船渡国際港湾ターミナル協同組合の細川廣行理事長は「ポートセールスを一生懸命行ってきた結果。県内の貨物も、鉄道利用から、少しずつ船に向き始めている。輸出では、県産材を中国に持っていく流れなどが広がり、今後も増えていく」と力を込める。
 年別の実績は別掲。