木のぬくもり高く評価 市立博物館 いわて木材利用優良施設に
令和6年2月7日付 1面


木のぬくもりがあふれる館内
陸前高田市高田町の市立博物館(松坂泰盛館長)が、県による本年度いわて木材利用優良施設等優秀賞を受賞した。東日本大震災で全壊し、中心市街地に再建後、令和4年に開館した同館。同市の自然や歴史、文化などを学べる拠点が、木のぬくもりが感じられる空間として高い評価を受けた。
同賞は木材利用の促進を図ることを目的に、木材利用施設などのうち、特に優秀な取り組みを手掛ける施主、設計者、施工者を表彰するもの。
本年度は施設部門で同館を含む県内4施設、木製品部門で1製品が対象となった。表彰式は1月に開催された「いわて農林水産躍進大会」(いわて農林水産振興協議会、県主催)に合わせて行われた。
同館は昭和34年、東北地方第1号の公立登録博物館として開館。新館は同じく震災で全壊した同市の「海と貝のミュージアム」と一体的に整備された。
令和2年1月に着工。設計は日本を代表する建築家・内藤廣氏が代表取締役を務める㈱内藤廣建築設計事務所が手掛け、地元の㈱佐武建設が施工した。
鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)の2階建てで、延べ床面積は2800平方㍍。3年7月に完成し、資料保護のため館内の空気環境を安定させる「枯らし期間」を経て、4年11月に開館に至った。
内外装に木材をふんだんに使用し、木質化した壁や天井は部材をユニット化して更新を容易にする工夫が施された。展示室のテーブルやイスは、曲線を生かしたデザインとするなど、居心地の良い空間となるよう配慮されている。
新館の来館者数は、1月下旬に累計8万人を突破。文化財レスキューを経て修復された資料の展示デザインも高評価を受けており、本年度、日本展示学会賞(同学会主催)、日本空間デザイン賞金賞(日本空間デザイン協会など主催)、グッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞した。
同館は「内装でも木がふんだんに使われた施設となっており、木材ならではのぬくもりや柔らかな空間は好評の声をいただいている。今後も施設の魅力とともに、展示資料を通じて市の自然や歴史を発信していきたい」としている。