個性認め合う意識醸成へ 地元の障害者画家・田﨑さんと交流 高田東中生がアートWS(別写真あり)

▲ 田﨑さん(後列左)や實さん(同右)が見守る中、思い思いに絵を描く生徒たち

 陸前高田市の高田東中学校(伊東孝志校長、生徒167人)で7日、多様性などについて考える体験型のアートワークショップ(WS)が開かれた。同校の1年生44人と、知的障害がある地元のアーティスト・田﨑飛鳥さん(42)=横田町=が参加し、「自分らしさ」をテーマに自由に絵を描いた。心のままに仕上げた作品を互いに鑑賞し、個性を認め合う意義を感じ取る機会とした。(高橋 信)

 

 WSは心のバリアフリーを推進しようと、市と同校が企画。講師は田﨑さんら障害者アーティストの作品販売などを手掛ける㈱ヘラルボニー(本社・盛岡市)社員で、陸前高田市出身の丹野晋太郎さん(28)らが務めた。
 生徒たちは、鮮やかな色使いと独特のタッチが印象的な田﨑さんの油彩画を鑑賞したあと、田﨑さんの父・實さん(76)から作品の解説を受けた。WSでは性格や強み、好きなことなど、自分自身の個性や考えを見つめ直す時間が設けられたあと、それぞれ「自分らしさ」を絵で表現した。
 絵筆を使っていくつもの円の模様をきれいに描いたり、手のひらや指に絵の具をつけて大胆に塗ったりと、個性豊かな作品が完成。最後に鑑賞し合った。
 村上琉華さんは「上手に描くとかではなく、自由にできたので楽しかった。アートにはさまざまな形があると思った」と関心を寄せた。菅野翔太さんは「田﨑さんのように障害があっても活躍できるんだと学んだ」と話した。
 實さんは「障害者に優しいまちは、健常者にも優しいまち。陸前高田市がそうしたまちづくりをしているということを、中学生にも知ってもらいたい。障害者でも良い個性を持っているということを地域の子どもたちに知ってもらう貴重な機会となった」と喜んだ。
 市は性別や年齢、障害の有無など、あらゆる垣根を越えて認め合う「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」を展開。田﨑さんは市ノーマライゼーション大使を務め、昨年、自身の作品が車両に描かれたラッピング列車の運行がJR釜石、東北線で始まるなど活躍を続けている。
 市政策推進室の佐藤賢室長補佐は「多様性を認め合い、相互に思いやることが共生社会につながる。地元の中学生にも意識してもらうような取り組みを今後も展開していきたい」と見据える。
 WSは6日、高田第一中学校でも開かれた。