土地利活用率86%超に 新たな店舗進出などで上昇続く 大船渡駅周辺地区

▲ 幅広い業種の店舗や住宅などが並ぶ大船渡駅周辺地区

 大船渡市が東日本大震災の復興事業で実施した大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内の土地利活用率(面積割合)は、1月末現在で86・1%となった。昨年3月末比では、1・9ポイント上昇し、店舗など新たな利用が生まれ、人流創出などにつながった。一方で、計画が白紙になるなど、利用予定を含む活用率は減少。市は引き続き、賃貸や売却を希望する民有地のマッチングなどに力を入れる。(佐藤 壮)

 

 市がまとめた土地区画整理事業区域内における土地の利活用状況によると、道路や公園などの公共施設用地を除く21・36㌶のうち、利用中は18・40㌶。昨年3月末から0・41㌶増えた。
 本年度、津波復興拠点事業エリア内にある気仙丸陸上展示の南側で、新たな自動車販売整備店舗がオープン。さらにエリアマネジメントの一環で、隣接地に「バイクの駅」が設けられた。
 いずれも、これまでなかった業種の整備で、新たな人流創出にも貢献。バイクの駅には、ツーリング客が立ち寄り、近隣にある飲食店を利用するといった波及効果が生まれた。
 用途別状況(利用中)をみると、住宅が7・1%、店舗が64・4%、店舗兼住宅が1・5%、その他が13・1%。店舗に加え、住宅もモデルハウスの建造などで伸びた。
 JR大船渡線から県道間には、多彩な店舗が集積するおおふなと夢商店街やキャッセン大船渡が入り、大船渡駅から山側では金融機関や事業所に加え、住宅の立地も目立つ。区画整理区域内には126店舗あり、このうち52店舗(41・3%)が飲食店となっている。
 一方、利用予定を含む土地利用率は、87・3%で、昨年3月末比で2・1ポイント減少。市が本年度、着工に至っていない土地の所有者らから確認したところ「以前あった計画が白紙になった」などの状況が分かったという。
 東日本大震災で被災した大船渡駅周辺地区では、土地区画整理事業(事業区域33・8㌶)による復興まちづくり事業が展開された。JR大船渡線から山側(西側)では、震災規模の津波に対応した安全な住宅地区として整備。海側(東側)は商業・業務地区として整備するとともに、災害危険区域の指定による居住制限や商業・業務系の利用を誘導してきた。
 平成25年8月に着工し、31年3月末で土地のかさ上げや道路整備、公共施設の建設といった基盤整備工事が完了し、4月には最後の「まちびらき」式典が盛大に催された。その後、新型コロナウイルスの影響が広がったが、土地利用率は着実に上昇。市では「相談状況を見ても、今後もまだ伸びていく見込み」としている。
 海側には宿泊施設も並ぶ中、飲食店をはじめ多くの店舗が営業。スーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストアなど地域住民が立ち寄りやすい施設も定着したことで、市などには地元消費者による〝買い回り〟の流れを生かした進出の問い合わせが寄せられるという。また、スポーツ系の利用環境充実を望む声も寄せられ、今後の動向が注目される。
 一方、山側は小規模の土地が点在する中、利活用の動きは鈍い。所有者からは「ここ最近は相談もなかなかない」といった声が聞かれる。
 市は、土地区画整理事業区域をJR大船渡線と須崎川を境としてA、B、C、Dの4区域に区切り、地権者が売却・賃貸を希望する土地の情報をホームページで公表。宅地としての利用も含む希望者からの申請を受け付け、地権者を紹介している。
 土地利活用率の推移は別掲。