ショウガシロップで心身ほっと 菊地さんが商品化 あすから道の駅高田松原で販売
令和6年2月15日付 7面

陸前高田市米崎町のショウガ農家・菊地康智さん(39)は、ショウガと同市の「北限のゆず」、野田村の「のだ塩」の県産食材をメインに使ったシロップ「ジンジャーアップコーディアルみろく」を商品化した。三陸の海風と太陽の恵みを受けた、素材の特徴を伝えようと無加水にこだわり、白湯などと混ぜてじっくりと味わう。16日から気仙町の道の駅高田松原で販売される。(高橋 信)
商品は自身のオリジナルブランド「三陸ジンジャー」の加工品第2弾。岩手県北・沿岸地域の振興活動に対する助成事業などを手掛ける公益財団法人さんりく基金の助成金を活用し、昨年夏に動き出した。
本年度産ショウガの搾り汁に、ユズの果汁と皮、塩を混ぜて、北海道産の「てんさい糖」で時間をかけて煮詰めて完成となる。地元食材の素晴らしさを発信するため、原料の品目を徹底的に絞り、盛岡の料理研究家、しょうゆ醸造店関係者らで組んだプロジェクトチームと約半年間試飲を重ね、納得のいく配合にたどり着いた。ヨーグルトやホットミルク、紅茶などのアクセントにもなる。
おすすめの飲み方は、シロップと白湯を1対6の割合で混ぜる。ショウガは漢方薬にも多用される健康食品で、各家庭で心身ともにほっとする時間を、商品を通じて生み出したいとの願いが込められている。
菊地さんによると、商品名の「コーディアル」は欧州で伝統的な滋養強壮作用のある濃縮ドリンクを指すという。「三陸」を訓読みした「みろく」も加え、ショウガの実などを模した商品パッケージのデザインも外部委託してこだわった。
菊地さんは千葉県出身。東日本大震災後、「東北被災地の食を支えたい」と母の実家がある陸前高田市に移り住み、広田町の農事組合法人・広田半島野菜部が乗り出したショウガ栽培を手伝うのをきっかけに、自身もショウガ農家の道を歩み始めた。
菊地さんは「気仙の温暖な気候、岩手の恵みの結晶でもある1次産品の魅力を、手を加えることで岩手を中心とした多くの人に知ってもらおうと製造した自信作。忙しい毎日の中でほっこりする時間をさり気なく提案できればいい」と熱を込める。
シロップは瓶入りで、内容量280㌘。料金は税込み2880円。450本製造した。