熊谷さん(陸前高田)の功績たたえる 第49回東海社会文化賞顕彰式 美術の後進育成に尽力(別写真あり)

▲ 顕彰を受けた熊谷睦男さん(前列左から2人目)と家族ら出席者

 福祉や文化、教育、産業などの分野で地道な活動を続けている個人、団体を顕彰する第49回東海社会文化賞(東海社会文化事業基金主催)の顕彰式は15日、陸前高田市高田町の海浜館で開かれた。今回は、長年にわたり気仙の芸術文化の発展や美術の後進育成などに尽力してきた同市の画家・熊谷睦男さん(89)が受賞。式には、熊谷さんの家族や美術関係サークルの代表者らが出席して熊谷さんの功績をたたえ、受賞を祝った。

 

 熊谷さんは、岩手大学の旧学芸学部甲一類美術一科を卒業後、図画工作や美術専門の教諭として同市内外の中学校に勤務。教員生活の傍らで絵の研さんを積み、気仙のアートアカデミー「彩光会」に入会後は、昭和41年の公募展「創造展」(創造美術会主催)で新人賞受賞を果たした。
 市教委教育長を務めた時期は、市策定の「カルチャービレッジ構想」に関わり、「美術品整備基金」を設けて市にゆかりのある美術作品の収集に尽力。教育長退任後は市芸術文化協会長となり、人脈の広さを生かして気仙の芸術文化発展、東日本大震災後の復興支援に寄与した。
 個人の活動では、パリのル・サロン、サロン・ドトーヌなど国内外の著名な国際公募展に出品し、多数の入選、入賞を果たし活躍。会長を務める彩光会や、指導者を務める気仙の絵画グループ「三洋会」「彩友会」「日曜パレット」などでは後進育成に励み、国際展での入選、入賞に導いている。
 一方、同市の産金に由来する張り子の郷土玩具で、伝承が途絶えていた「俵牛」(通称・くびふりべーご)の復活と後継者育成にも尽力。平成30年に「高田伝統郷土玩具『張子俵牛』くびふりべーご伝承の会」を発足させ、毎年開かれる俵牛の制作講習会で一般参加者らに玩具の魅力を伝えている。
 顕彰式には、熊谷さんと家族をはじめ、絵画グループ、同伝承会の代表者ら10人が出席。
 式冒頭、同基金代表の鈴木英里東海新報社社長は「今回の受賞者選定は、熊谷さん自身の世界的な活躍によるものではあるが、なにより一番は、後進指導に長年尽力されてきたこと、陸前高田の誇るべき歴史と文化を後世のために保存し、利活用し、守っていこうという活動に尽くされてきたことをたたえてのもの」とあいさつし、熊谷さんに顕彰状を贈呈。
 熊谷さんは、「伝統と名誉ある貴重な表彰をいただき、身に余る光栄」と語ったうえ、高田高校時代、一関市千厩出身の洋画家・白石隆一氏(故人)との出会いを原点に、「教えることは学ぶこと」の教えを胸に、さまざまな人との交流の中で自らの生き方を磨いてきたことを振り返った。
 また、「先人や、これまで出会った多くの方々、自分を支えてくれる家族に感謝。これからも、絵描きの好きなみなさんと創作の喜びを分かち合い、後進指導も行っていきたい」と今後への意欲も伝えた。
 式後は会食の席が設けられ、乾杯とともに出席者が歓談。テーブルスピーチでは、彩光会監事の千田尚順さん(79)が「気さくで温かい心の持ち主。地元の交流や美術などの指導に心を尽くしていただいた」と、同伝承の会の横田祐佶会長(80)が「ただ作るだけでなく、文化的価値を上げて次の段階へ向かおうという姿勢に、私たちも励まされている」とし、熊谷さんの受賞を喜んでいた。
 東海社会文化賞は、東海新報社創立15周年を記念して昭和48年に創設。気仙で名利を求めず社会に貢献した陰徳の個人・団体を顕彰している。受賞者数は今回を含め、通算73個人53団体となった。
 顕彰式出席者次の通り(東海社会文化事業基金関係者除く、敬称略)。
 熊谷睦男・美紀子夫妻、菅野美保子(長女)、菅野義則(美保子さんの夫)、坂本光博(彩光会副会長)、佐藤泰子(同)、久納豊(彩光会事務局長)、千田尚順(同監事)、横田祐佶(高田伝統郷土玩具「張子俵牛」くびふりべーご伝承の会会長)、遠藤マツ子(彩友会代表)