大船渡開催〝再々挑戦〟へ 2年後予定の全国椿サミットに名乗り 震災、新型ウイルス中止乗り越え
令和6年2月17日付 7面

ツバキやサザンカを活用したまちづくりに力を入れる自治体、愛好者間の交流を図る「全国椿サミット」の令和7年度大会に、大船渡市が会場地として名乗りを上げる。開催が実現すれば、平成11年度以来26年ぶり。同23年は東日本大震災で、令和4年は新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた。来月9日(土)に島根県松江市で開かれるサミット協議会で、8年3月ごろの大船渡市開催に向けた議案が提出されるほか、市は新年度予算案に関連事業費を計上している。(佐藤 壮)
全国椿サミットは年に1回、同サミット協議会に加入する市町村の持ち回りで開催。ツバキを市花とする大船渡では、平成12年3月に第10回会場として初めて開催された。
当時、東北でも初開催で、会場は盛町のJAおおふなと会館。「椿と人とまちづくり」をテーマとした全国交流フェスティバルでは全国各団体の代表者や市民ら約800人が出席し、地元の芸術・芸能団体がステージを飾った。大船渡農業高校(現・大船渡東高校)造園専門分会の生徒代表が校内研究の成果を披露するなど、成功を収めた。
その後、1000人規模の大ホールを備える市民文化会館リアスホールの整備が進み、三陸町との合併10年目に当たる平成23年3月に、2度目となる大船渡大会を計画。しかし、開催直前に震災が発生し、中止を余儀なくされた。
震災発生から10年が過ぎ、市は復興した姿を発信するとともに、復興支援への感謝も込めて盛り上げていこうと、令和4年3月開催に向けた実行委員会を設立。リアスホールを中心とした催事や、市内各地を巡る2日目の視察などを予定していた。
新型ウイルスの影響が続き、実行委は開催2カ月前まで情勢を見極めていたが、感染拡大が収まらず「感染者数の見当がつかない」「大会を安全に実施できる根拠がない」として、中止を決定。2度目となる「苦渋の決断」に至った。
大船渡大会の〝再々挑戦〟要望は、一昨年から出ていた。つばきまつり実行委員会の会合で「震災とコロナで2度もできなかった。待ちに待った状態であり、早めに日程を考えては」などの声が寄せられていた。
市によると、松江市での椿サミットに合わせて開かれる協議会の総会で、令和7年度の「大船渡大会」に関する議案が提出される見込み。可決されれば、内定自治体として準備が進む。
今年の会場地となる松江市は令和3年にも開催予定だったが、新型ウイルスの影響で中止となった。来年は、2年に開催がかなわなかった長崎県五島市に内定している。
市は6年度一般会計予算に、椿サミット大船渡大会実行委員会の負担金分として200万円を計上。内定すれば、市内を中心に実行委員会組織が動き出し、準備が本格化する。
渕上清市長は「市内では、民間事業者も含めて『つばきのまち』として売り出していこうとしている。交流人口、関係人口拡大など全国サミットの開催は、さまざまな効果が生まれるものと期待している」と話す。