市役所1階 改修着手へ 窓口改革の一環で今月下旬から 「迷う・待つ・書く・回る」軽減図る

▲ ローカウンター配置のイメージ図

 大船渡市は今月から3月にかけ、「おおふなと版窓口改革」の第1弾として、市役所窓口1階の改修を行う。座ったまま手続きが可能なローカウンターや、手続き内容別の色分けとする新たな窓口環境は26日(月)から稼働。3月13日(水)からは、申請に必要な項目などを職員と利用者が一緒に確認する窓口業務支援システムを導入する。新年度以降もデジタル化を推進しながら順次機能を拡大し、長年の課題である利用者の「迷う・待つ・書く・回る」の軽減を図る。(佐藤 壮)

 

今月下旬から改修に入る大船渡市役所1階

 市によると、主に改修するのは、市民環境課と国保医療課、税務課の窓口スペース。いすなどを新たに設け、座ったままでの手続きが可能となる。ローカウンターには仕切りも付け、手続き内容などに関するプライバシー情報の保護などに配慮する。車いす用カウンターも確保する。
 さらに、これまで各課の名称を表示していたが、「証明書」「住所・戸籍」「国保・年金」「医療給付」「税金(収納)」などの手続き別とし、色分けも行う。平日の業務には支障が出ないよう23日(金・祝)から改修に入り、現行のカウンターなどを撤去。26日から本格運用となる。
 3月13日からは、窓口業務支援システムが稼働。税の一部や戸籍、住民基本台帳、印鑑に関する証明書発行で「書かない×ワンストップ」のサービスを始める。
 現在、住民票などの発行を求める際は、事前に申請書に記入して担当課に出向く流れとなっている。新たなシステムでは、総合案内付近に設置する番号札発券機を置き、順次来庁者の申請に対応。職員が聞き取りで内容を確認することで「書く」作業を省く。
 これまでは印鑑証明書と税証明の交付を受ける場合、2カ所の窓口で申請しなければならなかった。システム運用開始後は、1カ所のローカウンターで対応することで「回る」負担の軽減を図る。
 来月上旬には、多様な決済方法に対応するレジを導入。同下旬には、総合案内の機能を高めるため、高さ約2・1㍍、幅約3・7㍍のデジタル庁舎案内板を置く。庁舎全体の配置を示す表示に加え、タッチパネル操作で目的課などを探すことができるという。
 市は昨年度、地域課題解決につながるデジタル技術の活用などを見据え、若手職員を中心としたデジタル創生研究プロジェクト・チームを設置。他自治体の先進事例を研究しながら、グループワークなどを通じて市の課題の洗い出しや解決策の検討を重ね、「書かない窓口」「行かない窓口」を模索してきた。
 政府は、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた地方公共団体の取り組みを交付金措置で支援。市が進める一連の改修事業は、すでに確立されている優良なモデル・サービスを活用して迅速に横展開する取り組みとして採択された。事業費は約9200万円で、このうち約4600万円が交付金措置されるという。
 引っ越しによる来庁の場合、住民票の手続きに加え、住民によっては国民健康保険や介護保険などの対応も必要に。市の試算では、転入に伴う各種手続きが完了するまでに、最長で3時間、十数回にわたり住所や氏名など同じ記入を求められることも。記入に手間取ることで、他の目的で訪れた市民らを待たせるケースも少なくない。
 窓口業務の簡素化は、部課をまたいだ横断的な対応が必要となるため、市は〝先行モデル〟としての庁内の波及を見据える。ワンストップサービスは、6年度に死亡・転出・転入・転居、7年度は出生・婚姻・離婚に拡大する。いずれも窓口の繁忙期を避け、年度下半期の導入を目指す。
 市は順次機能を拡大する「スモールスタート」を重ね、各段階で生じた課題に対応しながら充実を図る方針。阿部貴俊企画調整課長は「過渡期でも、市民の混乱や職員負担増を防ぎながら進めたい」と話す。