価格転嫁 依然厳しく 大船渡商議所会員対象アンケート調査 「値上げ半分以下」今回も5割超

 大船渡市と大船渡商工会議所が昨年12月から今年1月にかけて実施した同商議所会員事業所対象のアンケート調査で、原油価格や物価高騰等で「影響を受けている」「影響が見込まれる」と回答した割合が合わせて9割超となった。コスト増加分について「値上げができたのは半分に満たない」「全く値上げができていない」と答えた割合の合計は、昨年9〜10月の前回アンケートに続いて半数を超えており、幅広い業種での厳しい経営実態が改めて浮かび上がった。1~3月の売り上げ見通しは半数超が「減少する」としている。(佐藤 壮)


 調査は新型コロナウイルスなどの影響把握に向け、令和2年度から定期的に実施。新型ウイルスは5類感染症指定に移行し、影響は落ち着きつつある一方、物価高や電気料金をはじめとしたエネルギー価格の上昇など中小企業者を取り巻く経営環境が厳しさを増していることから前回調査から質問項目を切り替え、今回はさらに一部を見直した。
 市内企業の影響変化を定点的に把握するため、会議所の会員事業者から業種バランスを考慮し、600事業所を選定。290件の回答があり、回収率は48・3%だった。
 原油価格や物価高騰等に関する質問では「影響を受けている」が78・6%で、前回よりも2・8ポイント下がった。業種別では農林漁業が100%、小売業94・6%、運輸業90%と高かった。
 「現時点で影響を受けていないが、今後影響が見込まれる」は14・1%(前回比0・3ポイント増)。「今後も影響はない」は5・9%(同2・1ポイント増)だった。
 「影響を受けている」「今後見込まれる」の回答事業所に対し、具体的な影響を尋ねた(複数回答可)。最多は「原材料・仕入価格の上昇に伴う利益圧迫」の73・2%で、前回よりも0・3ポイント増加。「燃料価格の上昇に伴う利益圧迫」が68%と続いた。
 「電気料金の上昇に伴う利益圧迫」も56・9%と上位に入ったが、前回よりも約10ポイント下がった。「物価高騰に伴う消費の冷え込み」は56・1%、「原材料・部品・資機材などの調達の遅れ」は25・7%、「LPガス料金上昇に伴う利益圧迫」は17・5%だった。
 原油価格・物価高騰の対応策に関する質問(同)の回答では「諸経費の削減」が最多で68%。「商品・サービスの値上げ(価格転嫁)」は42・8%、「仕入れ先・調達先の見直し・変更」は25・3%だった。
 コスト増加分に対する受注価格・販売価格の値上げも質問(単独回答)。「半分以上は値上げできている」は31・4%で、以下「値上げができたのは半分に満たない」が27・9%、「全く値上げができていない」が23・4%、「全て値上げができている」は7・6%だった。
 1~3月の売り上げ見通し(同)は「減少する」が54・1%、「変わらない」が36・2%、「増加する」が9・0%。「減少する」の回答割合は前回調査時から6・0ポイント減となり、業種別では小売業が64・9%で最多。次いで宿泊業が60%、建設業と卸売業が57・1%だった。
 資金繰りの状況(複数回答)は「現時点では問題ない」が最多で49・7%で、前回比4・6ポイント減。「借入金残高が増加」は15・9%で同1・1ポイント増だった。「新規融資を受けた(受ける予定)」は15・5%で同2・4ポイント増、「新型コロナウイルス関連融資の返済が始まり負担になっている」は12・8%で同2・1ポイント増だった。
 人員の充足状況を質問(単独回答)。「過不足はない・多少不足しているが事業運営に支障はない」が64・8%で、「不足している(事業運営に支障が生じている)」が11・7%、「過剰である」が3・8%、「非常に不足している(事業継続に不安がある)」は1・7%だった。