かつての街角そのままに 立根町の竹内さん おおふなぽーとでドールハウス作品展(別写真あり)

▲ 外観、内部ともに精巧に再現されたドールハウス

 大船渡市立根町の公民館職員、竹内朱美さん(64)による作品展「竹内朱美のご町内ドールハウス」が、大船渡町のおおふなぽーと2階で3月28日(木)まで開催されている。大小合わせ6点、平成10年から現在にかけての市内の店舗を再現した作品を展示し、中には東日本大震災前の店舗も。かつての街角の風景と、思い出を重ね合わせてほしいと期待を寄せる。
 この作品展は、大船渡津波伝承会(齊藤賢治代表)が同館で主催する、震災伝承展示内で行っているもの。
 竹内さんは趣味で約25年前に、自宅の近所にある店舗を題材にドールハウスを作り始めた。12分の1スケールを基本に、店舗の外観から店内の細かな商品に至るまで丁寧に再現した。
 平成22年に初めて作品展示を行ったが、翌年の震災で被災。大船渡町にあった当時の自宅が津波の被害を受け、それまでの作品も汚損された。それでも、残った作品にできる限りの修復を施し、震災後の作品と合わせて展示にこぎつけた。
 作品の制作は、まず店舗の写真を撮影し、それをもとに数年かけて作り上げる。そのため完成する頃には、再現したポスターや商品のパッケージが、過去のものになってしまっていることも。それがかえって、当時の姿と時代をとどめたような出来栄えを演出し、作品を見た人からは「店の人が出てきそうだ」といった感想が寄せられる。
 用いる材料も、自ら購入したり廃材を利用したりと幅広い。「どの材料で何が作れるのか、考えるのが一番楽しい」と、竹内さんは目を輝かせる。
 店舗の外観はもちろんのこと、竹内さんのこだわりは細部にも及ぶ。和菓子屋のカウンターに並ぶ商品には、直径1㌢に満たないパッケージシールを貼る。履物屋の棚を埋め尽くすために、250足以上もの靴やげたを作った。近年の作品は、電池を仕込んで看板を電球で光らせる細工を施し、徹底的に作りこんだ。
 竹内さんは「かつての大船渡を知る人に、こんなお店があったなと懐かしんでもらえたら。一方向だけでなく、あらゆる角度から作品を見てほしい」と、自信作の数々を誇る。
 入場無料。展示時間は午前9時〜午後10時。
 問い合わせはおおふなぽーと(℡21・6001)まで。