経済活性化と人材育成強調 市議会定例会開会 佐々木市長が施政方針演述
令和6年2月22日付 1面
陸前高田市議会3月定例会は21日に開会し、佐々木拓市長が施政方針演述を行った。東日本大震災からの復興の先を見据えた経済活性化、子育て世代・若者への支援、人材育成の推進を強調。大学誘致など選挙公約の実現のほか、脱炭素、SDGs、地元高校生の国際交流にかかる取り組みへの意欲も示した。市当局は新年度当初予算など議案26件を提出し、同日は6件について同意、可決した。(高橋 信)
佐々木市長の施政方針演述は、昨年2月の就任後2回目。約1時間にわたって行われた。冒頭、能登半島地震の犠牲者を追悼し、「市民から被災者の力になりたい、できる限りの支援をしたいとの声をいただいており、能登地方の復旧・復興に向け、息の長い支援に努める」と誓った。
震災後のハード復旧がおおむね完了した中、「市民が安心して豊かに暮らし、経済的にも自立したまちとして発展できるよう各種施策に取り組む」と決意。市がこれまで重点的に取り組んできた福祉・教育分野における施策の継続・充実を図るとともに、「将来を担う子ども、若者、子育て世代への支援、人材育成の取り組みを推進していく」とし、具体例として本年度開始した学校給食費の無償化、6年度から本格的に運用する給付型奨学金制度を挙げた。
地域経済活性化策では大手水産会社によるサーモン養殖事業を紹介。大学誘致に関しては陸前高田グローバルキャンパスを運営する岩手大、立教大との連携を取り上げ、「誘致実現に向けて努力し、進ちょく状況をできる限り議会、市民に知らせる」と語った。
また、脱炭素やSDGs推進に向けた取り組み、米クレセントシティ市と連携したグローバル人材の育成、英語教育を重点に置き、津波防災、海洋・水産について学ぶ高田高学科・コース創設にも意欲をみせた。
続いて、6年度当初予算案の概要を説明。同年度の主要施策は、まちづくり総合計画で定める八つの基本目標ごとに紹介した。
このうち、「快適に気持ちよく暮らすまちづくり」では、公共交通分野でAI(人工知能)による予約・配車システムの導入を検討する。市営住宅は空き室の一部を高田高校へ通学する遠方学生の居宅などとして有効活用を図る。
「安全・安心で環境にやさしいまちづくり」では、新たに津波避難シミュレーションを行い、地域特性に合わせた津波避難計画作成を進める。「子どもたちを健やかに育むまちづくり」では、子どもの居場所づくりや子育て支援を行う団体への助成制度を創設する。
「ともに支え、健康に暮らすまちづくり」では、前市長が提唱した「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」の推進のほか、市出身で、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手に対し、「市を挙げて応援する」との意向を示した。
「活気に満ちあふれ豊かに暮らすまちづくり」では、海水温の上昇を踏まえた藻場の回復、ニッスイと連携した水産業の担い手育成などを展開。ピーカンナッツ・プロジェクトに関しては最適品種の選抜や栽培技術の確立に向けた取り組みを継続する。
終了後、山田市雄教育長が教育行政方針演述を行った。6年度の基本方針と施策の大要を説明し、「この地で学ぶ子どもたちのたくましく生き抜いていく力を育むために、地域や学校の特性を生かした学校教育を推進する」と述べた。
この日同意、可決したのは、人権擁護委員の候補者推薦、市道路線の廃止・変更・認定、市手数料条例の一部改正など6件。6年度からの5カ年計画となる市まちづくり総合計画後期基本計画策定に関する議案1件は総合計画審査特別委(議長を除く全議員で構成)に、新年度予算案など19件は予算等特別委(同)に審査を付託した。
選管委員と補充員決まる
任期満了に伴う陸前高田市選挙管理委員、補充員の選挙で、委員4人、補充員4人の当選が決まった。任期は3月9日から4年間。
選挙は21日の市議会定例会本会議で行われ、及川修一議長の指名推薦で決めた。
当選した委員と補充員は次の通り。
▽選挙管理委員=菅野幸(76、竹駒町)村上金吾(66、高田町)村上睦子(70、矢作町)松田八郎(67、横田町)
▽補充員=砂田収司(72、広田町)金野輝夫(73、米崎町)村上信幸(63、気仙町)吉田晃子(53、小友町)