芳名板 3月8~20日に設置 みなと公園内の市震災追悼施設 11日に完成報告と追悼式開催

▲ 3月8日から犠牲者氏名を掲示した芳名板が設置されるみなと公園のスロープ

 大船渡市が大船渡町・みなと公園内に整備を進める東日本大震災追悼施設「祈りのモニュメント」のうち、犠牲者氏名を掲示した芳名板が3月8日(金)~20日(水・祝)の13日間、設置されることになった。整備事業は今月中の完成に向け、工事作業がほぼ完了。モニュメントの完成報告と追悼式は、発災から13年を迎える3月11日(月)に開催し、遺族向けに参観スペースを設ける。(佐藤 壮)


 芳名板は、道路から公園内の広場へとつながるスロープの中間付近に掲示。約400人の氏名が並ぶ見込みで、市内で犠牲となった市外在住者や、震災関連死と認定された市民も含む。
 芳名板は毎年、発災日の3月11日を含めた一定期間の掲示を予定。市によると、11日前後の休日・祝日を利用した来訪も想定し、本年度の設置期間を定めた。
 追悼施設の整備業務は匠建設・五葉建築設計事務所・サイト共同提案体が担ってきた。主要な構築物となる祈りのモニュメントはガラス素材。縦2㍍、横1・7㍍で、湾内に向かって祈る構造となる。モニュメントの下には、海に向かって花を手向ける献花台が設けられる。
 中央には「未来へ祈る」との言葉が記される。支える10本の柱は、大船渡市の盛、大船渡、末崎、赤崎、猪川、立根、日頃市の各町に加え、三陸町の綾里、越喜来、吉浜の「10のまち」を意味する。
 芳名板の設置時期にかかわらず、モニュメントそばの説明板に添える2次元コードをスマートフォンなどで読み取ると、それぞれの画面上に犠牲者の氏名が表示される仕組みも設ける。
 スロープ沿いには、明治三陸地震や昭和三陸地震、チリ地震津波の高さを表した過去の津波高表示板を設ける。津波高と同じ高さに置き、歩きながら津波の爪痕を感じ取ることができる。
 須崎川河口部に位置するみなと公園は、県が海岸防護を目的とした防潮堤などと合わせた復旧事業の一環で整備し、令和2年11月に供用開始。圧迫感を和らげる目的から防潮堤を挟むように盛り土が施され、高さ7・5㍍の築山が造成された。
 頂上部に大船渡湾内を眺望できる「展望広場」があり、4年3月には大船渡西ロータリークラブによって「鎮魂愛の鐘」が移設された。市による祈りのモニュメントが新たに整備されることで、震災へのさまざまな思いを寄せる空間としての役割が強まる。
 市が主催する祈りのモニュメント除幕式・東日本大震災大船渡市犠牲者追悼式は11日午後2時25分~同3時15分に、展望広場で開催。30人程度の招待者に加え、遺族にも案内し、参観スペースを設ける。
 除幕、市長あいさつ、モニュメントの概要説明に続き、2時46分に黙とうを行う。市議会議長による「追悼のことば」や弔電・弔文紹介が行われた後、チェリスト・土田英順氏が献奏。震災で犠牲となった市内の女性が所有し、発災翌年に譲り受けて修理したチェロの音色を響かせる。
 一般献花は、式典終了後から午後5時まで受け付ける。献花用の花は、市で準備する。
 市は当日、公園付近に来場者向けの駐車場を確保する予定。芳名板の設置期間中を含めた通常時は、近隣にあるおおふなぽーと駐車場などを利用するよう呼びかける。