■能登地震被災地支援/市民らの思い 直接現地へ おはなしころりん・江刺理事長 穴水町、珠洲市を訪問 大船渡での募金届ける
令和6年2月28日付 7面

大船渡市のNPO法人おはなしころりん理事長の江刺由紀子さん(62)は22~26日、能登半島地震で被災した石川県を訪ねた。先月に同市内で行った募金などを直接現地に届けようと向かったもので、市民らから寄せられた思いとともに現地で支援に当たる団体などに届け、炊き出し活動にも参加した。江刺さんは「今回縁ができた団体と今後もつながりを続け、現地の支えになっていきたい」と思いを強くする。(三浦佳恵)
読書活動に取り組み、13年前の東日本大震災発生後は地域コミュニティー形成の支援にも力を入れる同法人。震災で数多く寄せられた支援への恩返しと、子どもたちに支え合いの大切さを感じてほしいと、自然災害の被災地などに向けた募金活動も行っている。
能登半島地震の発生後にも、被害に遭った地域を支援しようと1月4~31日に募金活動を展開。大船渡町のおおふなぽーと2階と、盛町のおはなしころりん事務所に募金箱を設け、市民が望む支援を把握するアンケートと合わせて協力を呼びかけた。
その結果、総額44万8015円が集まり、アンケート結果から「被災地の生活支援のために現金を届ける」こととした。
市民らの思いを直接届けたいと、江刺さんは震災当時に大船渡で支援活動に当たり、現在は穴水町の避難所で炊き出しを行う金沢市のNPO法人光塩ネットワークに連絡。珠洲市で子どもの居場所づくりなどに取り組むNPO法人ガクソーともつながりを得て、現地に向かうこととなった。
江刺さんは22日夜に石川県入りし、23、24の両日に活動。23日は光塩ネットワークのメンバーらとともに穴水の「のとふれあい文化センター」を訪れ、炊き出しに参加した。
ここでは避難者らの昼食と夕食を用意し、昼食を囲んで避難者らと交流。光塩ネットワークには、寄せられた募金から15万円と岩手の米30㌔、菓子を贈り、JAおおふなとデイサービスセンター日頃市から託された衛生用品なども手渡した。
24日は珠洲市の飯田小学校(四十住基子校長)を訪ね、大船渡市立盛小学校(今野忠頼校長)の児童会から寄託された支援金5万6881円を届けた。ガクソーなどが校内に開設する子どもの居場所「みんなのこども部屋」も視察し、運営関係者から取り組み内容や子どもたちの様子などを聞いた。
ガクソーは市内で銭湯を運営し、被災者には無料で開放するといった支援も行っている。江刺さんはガクソーに募金から27万8213円と菓子を贈り、被災地支援の充実を願う大船渡市民らの思いも伝えた。
被災地では道路などの復旧が進む一方、いまだ断水が続き、地震で倒壊した家屋などが見られたという。江刺さんは「大船渡の人たちの気持ちを集めて届けに来たと話すと、皆さん涙ぐまれていた。支援者たちに温かく、13年前をほうふつとさせた」と振り返る。
そして、「震災後は、支援などで大船渡に来た方々とのつながりが続き、それがわれわれの支えになった。せっかく縁ができた団体とつながり続けていくことも、一つの支援だと思う。終わりではなく、これが始まり。今後の現地の様子を見ながら、関わり方を探っていきたい」と話していた。