ひとり親家庭 養育費受領率14・8%  一般質問で当局示す 全国の半分程度にとどまる

▲ ひとり親家庭の相談業務を担う子ども未来課窓口

 陸前高田市は1日の市議会定例会で、離婚後の市内ひとり親が養育費を受け取っている割合を示した。昨年8月時点の受領率は14・8%で、全国の28・1%(厚労省まとめ、令和3年時点)の半分程度にとどまることが明らかになった。ひとり親家庭の貧困が同市を含む全国的な問題とされる中、養育費の不払いをいかに解消するか、重要な課題となりそうだ。(高橋 信、2面に一般質問の主なやり取り)

 

 ひとり親家庭の支援は同日行われた定例会一般質問で、木村聡議員(とうほく未来創生)が取り上げた。「養育費の受領率は全国で30%弱となっている。本市はどのように支援を行っていくのか」と答弁を求めた。
 市当局によると、ひとり親家庭などを経済的に支える児童扶養手当の支給申請世帯数は令和5年12月末時点で162世帯で、市全体の2・1%となっている。
 所得要件により支給停止している世帯を除く実支給世帯は133世帯。うち母子世帯が115世帯で、約86%を占める。
 養育費の受領を確認できた世帯は、昨年8月現在24世帯。児童扶養手当の支給申請世帯(162世帯)に対する割合(受領率)は14・8%だった。
 国は昨年、養育費の受預率について、令和13年までに28・1%(3年時点)から、40%に引き上げる目標を設定した。養育費の取り決めをしている母子世帯に限った割合は、3年時点の57・7%から13年の目標として70%を掲げた。
 市は5年4月、養育費の継続確保のため、養育費の取り決めに関する公正証書などの作成にかかる費用の補助金制度を創設。しかし現時点で申請はない。
 市が平成29年度に未就学児~中学生の保護者向けに実施した就労状況調査結果によると、母親が常勤、または正規職員である割合は、父親の同条件と比べて5~6割程度にとどまり、母親の正規雇用の割合が低いことが明らかになっている。
 市福祉部の千葉達部長は「養育費の受領は子どもが経済的、社会的に自立するまでに要する看護や教育のために大変重要なもの。公正証書の補助金制度は、離婚相談の際に説明するなど利用促進に努めていく」と答えた。
 同議員は再質問で、低水準とされる全国の受領率を大幅に下回る市の状況を踏まえ、「先進自治体の取り組みを参考に、養育費を立て替えるなどの対策を検討すべきではないか」と迫った。
 千葉福祉部長は、過去に先進事例の取り組みの成果や課題などを調査したことに触れたうえ、「立て替え払いの方が容易となった場合に、看護すべき親が真摯に権利を行使しなくなる、義務者が履行をしなくなるというモラルハザードが生じるのでないかという懸念があった」と、導入に至らなかった経緯を説明した。