防潮堤に鎮魂と伝承の光 震災13年に合わせ点灯 高田松原地区で11日まで

▲ 防潮堤ののり面に浮かび上がった光のスイセンの花

 東日本大震災後、陸前高田市の高田松原地区に整備された防潮堤に、震災犠牲者の追悼、災禍の風化防止の願いが込められた明かりがともった。LEDライトを使って堤防陸側ののり面にスイセンの花が描かれている。点灯は発災から13年に当たる11日(月)まで。
 ライトアップは、県立高田松原津波復興祈念公園管理事務所(尾澤彰所長)が、追悼イベントの一環として初企画。1日夜に始まった。
 防潮堤ののり面に約4500球のライトを敷設し、浮かび上がったスイセンの花は縦19㍍、横52㍍。かさ上げされた中心市街地からも眺められるような場所を選定し、事務所職員が手作業でライトを取り付けた。
 スイセンは阪神・淡路大震災の被災地に、当時皇后だった上皇后美智子さまが手向けられたのを機に、「復興と希望の象徴」としても知られる。高田松原津波復興祈念公園では震災遺構「タピック45(旧道の駅高田松原)」そばの国道45号沿いに、市民有志らがスイセンの球根を植えており、今春の開花を前に、一足早く鎮魂と教訓伝承の〝光の花〟が咲いている。
 同祈念公園は、県内唯一の国営追悼・祈念施設のほか、道の駅高田松原、震災津波伝承館、震災遺構などが入り、県内外から大勢の人が訪れている。公園管理事務所は来年以降も震災発生日に合わせ、防潮堤を活用したライトアップを行う考え。
 尾澤所長は「3・11に対する思いは人それぞれだが、忘れてはならないということを後世に伝えるべき。防潮堤にともる光が見た人の心に寄り添うものとなれば幸い」と話す。
 点灯は各日午後5時から8時まで。問い合わせは、同事務所(℡22・8560)まで。(高橋 信)