お待たせ!浜の春色 イサダ今季初水揚げ 大船渡市魚市場 13隻で12㌧、出足は低調(動画、別写真あり)

▲ 岸壁をさわやかなピンク色に染めるイサダ

 三陸沿岸に春の訪れを告げるイサダが4日、大船渡市魚市場に今季初めて水揚げされた。同日は、13隻が計12㌧を漁獲。初水揚げは昨年より約10日遅く、数量は3割ほどにとどまった。青空の下でイサダの桜色が岸壁を鮮やかに彩り、関係者は今後のまとまった漁獲を願った。(佐藤 壮)


 イサダはツノナシオキアミの別称で、養殖や遊漁の餌として流通。県内では食用の需要拡大を図ろうと、付加価値向上に向けた研究も進む。
 水揚げのカゴは桜色であふれ、魚市場を色鮮やかに彩り活気をもたらす。例年、2月下旬から3月中にかけて水揚げが続く。
 県内は先月19日から漁期に入ったが、悪天候などで休漁が続いた。4日は、釜石沖などで漁獲した漁船が、午後1時30分すぎから接岸。大船渡湾内では、穏やかな青い海を進む白色の漁船が映えた。
 昨年の初水揚げは2月22日で、3月の初水揚げは、令和3年以来3年ぶり。この日接岸したのは、陸送を含む13隻で、30㌔入りのかご計410個が積み上がった。入札では、1㌔当たり90円で取引され、昨年の85円~76円を上回った。
 県沿岸漁船漁業組合の組合長理事を務め、かご100個超を水揚げした第二十一志和丸の志田惠洋船頭(74)=赤崎町=は「初日としては最低レベル」と表情を曇らせた。
 「イサダの絶対量が少ない。(冷水でイサダが来やすい)親潮は来ていることは来ているが、底部まで水温が下がるほど強くない感じもする。これから量が増え、群れが南下するかは分からない」と話した。
 令和4年度における市魚市場でのイサダの水揚げ実績は、数量が3152㌧で前年度比30%増、金額は1億9887万円で同4%増に。いずれも県内全体の約半数を占めた一方、漁業者にとっては漁模様の割に金額が伸びない状況が続いた。
 今季の漁獲枠は、昨年、一昨年に続き、岩手、宮城両県いずれも9000㌧に設定。令和2年比で4割減を維持し、中長期的な資源確保を見据える中、数量や金額の動向が注目される。