次任期の「定数20」が確定 市議会内の委員会が調査報告 議員報酬や政務活動費含め検討継続

▲ 次任期も20議員での活動が確定的となった大船渡市議会

 大船渡市議会(三浦隆議長、議員20人)が昨年2月に設けた議員定数等検討委員会(委員長・船野章副議長、委員8議員)は、議員定数・議員報酬・議員の政務活動費について「さらなる検討を次の議会につなぐ」との報告をまとめた。4月の市議会議員選挙は、現行維持の定数20で行われることが事実上確定した。報告では、定数・報酬などの方向性が一定程度固まった段階で、住民懇談会などを開く必要性にも触れている。(佐藤 壮)

 

 同委員会は、市議会内の一会派から「昨今の人口減少と議員のなり手不足の状況から、議員定数と報酬について検討すべき」との意見を受け、任意の委員会として設置。委員会は9回開催し、これまで行った調査内容を報告書に取りまとめ、先月、三浦議長に報告した。
 委員は各会派から選出。定数の検討に関し、議会機能と役割に関する「活動量」の調査などを進めた。北上市議会を視察し、定数検討などの足跡に理解を深めたほか、有識者の文献も参考にした。
 大船渡市議会は、常任委員会による所管事務調査から市当局などに対して政策提言を行っている。調査を多く重ねる議会の委員会には、6~8人程度が必要という。現在、市議会内には総務(6人)、産業建設(7人)、教育福祉(7人)の各常任委員会がある。
 現在の市議報酬は月額32万円。見直し手法に関しては、議員の活動量と首長の活動量を比較して、適正な報酬額を探る「原価方式」のあり方などについても理解を深めた。
 議員報酬は隣市の釜石市(31万3000円)や陸前高田市(30万円)を上回る。一方、大船渡市の政務活動費は月額7000円。県内市ではすべて1万円以上となっており、検討の必要性が浮かび上がった。
 また、全国的に議員のなり手不足が叫ばれる中、立候補をしやすい環境や議会のデジタルトランスフォーメーション化推進による効率性向上も含め、住民とともに考える重要性も明らかになった。
 報告書では「議員定数と報酬は、議会独自で検討するものではなく、住民の皆さんと考えることが必要」と指摘。定数・報酬の方針が一定程度固まった段階で、住民との懇談会を開催する必要性も掲げた。
 さらに「さらなる調査とともに、時代が要請する議員定数、報酬のあり方の精査が必要。より良い議会活動が行える定数と報酬について、さらに検討することを次の議会へつなぐ」と記載。次任期では、特別委員会での審議を求めている。
 議員任期は4年間で、市制施行後の昭和27年~55年に行われた8回の通常市議選は定数30で実施。同59年~平成8年の4回は定数26、同12年は定数24で争われた。三陸町との合併後、同16年と20年は定数26で行い、東日本大震災翌年の同24年から定数20となっている。
 今年3月1日現在における有権者数は2万8764人(男1万3687人、女1万5077人)。令和2年の前回選時と比較して2180人少ないほか、合併前の平成12年(2万8960人)を下回る。
 任期満了に伴う市議選は、4月14日(日)告示、21日(日)投開票の日程で行われる。東海新報社の取材に対し、出馬を明らかにしているのは、現職15人、新人4人の計19人。過去の市議選で無投票に終わったことはないが、現段階では定数に届いていない。