3・11に「未来へのメッセージ」 高田高2年の渡邊さん 県の追悼式(盛岡)でスピーチ
令和6年3月9日付 6面

県による「東日本大震災津波追悼式」は11日(月)、盛岡市のトーサイクラシックホール岩手(県民会館)2階中ホールで開かれる。知事や来賓、県民らが参列する席上では、県立高田高校生徒会長の渡邊翔真さん(2年)が「未来へのメッセージ」としてスピーチする。県内高校生を代表し、平成23年の〝あの日〟からの歩みと、震災を語り継いでいく決意を伝える。(阿部仁志)
追悼式は、昨年まで沿岸市町村を会場に開催。今年は盛岡市など県央部の8市町からなる盛岡広域首長懇談会と共催し、初めて内陸部で行う。
渡邊さんは、黙とうと知事の式辞、政府来賓や県議会議長、同懇談会長(盛岡市長)らの追悼の辞のあとに登壇し、「未来へのメッセージ」を語る。「岩手で犠牲者が最も多かった陸前高田市。その地域の高校に通う生徒として、震災を伝えていく義務がある」という使命感を胸に、大役を引き受けた。
震災発災当時は4歳。大船渡市内に実家があり、「幼稚園から帰ってきたあとすぐ、大きな揺れに襲われた」。大津波襲来後、園庭から見える古里の風景が様変わりし、心に深い傷を負ったという。
1700人余りが死亡・行方不明という甚大な被害を受けた陸前高田市では、高田町の高田高校旧校舎が津波で全壊。同校は、大船渡市立根町の県立大船渡東高校萱中校舎(旧大船渡農業高校)を間借りして授業を再開し、27年から現在の高台の校舎での学校生活が始まり、今に至っている。
スピーチでは、「地域のために自分にできること」を考えてきた自身の過去や、まちの復興とともに歩んできた高田高の13年間に触れつつ、大震災の記憶と教訓を未来につなげていく決意を語る。
渡邊さんは「震災当時、自分には家があり、家族も無事だった。自分よりももっと大変な思いをした高校生がいる中、スピーチする責任は正直重いと感じる。それでも、自分たちは、震災の記憶がはっきりと残る〝最後の世代〟。若い世代が今も震災のことを考えていること、これからも『忘れない』ということを、全国の人たちに伝えたい」と力を込める。
式典は午後2時40分開始。式の模様は、動画配信サイト・ユーチューブ「県公式動画チャンネル」でライブ配信し、収録映像も同チャンネルで配信する。
式典終了後の同4時30分~6時には、自由献花の場を開設。参列、献花は事前申し込み不要で、礼服・平服のいずれでも可能。献花用の花は会場で用意する。