数量激減のスタートに 大船渡で今季第1回養殖ワカメ入札 生育遅れ顕著、前年のわずか3%(別写真あり)
令和6年3月15日付 1面
今季の第1回県下合同養殖ワカメ入札会は14日、大船渡市大船渡町の県漁連南部支所で開かれた。海水高水温の影響で生育が遅れる中、塩蔵ワカメの上場数量は2・1㌧と、前年のわずか3%にとどまった。気仙から唯一上場した広田湾(広田・北浜)の芯抜き1等値は2万5800円で、昨年の気仙最高値を41・8%上回った。上場数は4月以降に伸びるとみられるが、どこまで回復するかが注目される。(佐藤 壮)
広田産10㌔2万5800円
この日は、県内外から買い付け業者36社が参加。塩蔵ワカメの上場は陸前高田市の広田湾漁協と、宮古市の重茂漁協だけだった。
合計数量は、15㌔入りが141ケース、2・12㌧。昨年の4578ケース、68・67㌧を大幅に下回った。
例年は同支所の見付会場いっぱいにワカメの見本品が並ぶが、今年は閑散とした光景が広がった。入札参加業者らはワカメを手に取り、真剣な目つきで色や品質などを見定めた。
漁協関係者や買い付け人らからは「海水温が高い影響で、種付けや種まきが1カ月~1カ月半遅れた」「品質はまずまずではないか」「最近もしけ続きで、刈り取りできない日が多かった。次回の入札も少ないかもしれない」といった声が聞かれた。
会場に訪れた、国内の加工、販売、流通業者らで構成する三陸ワカメ買受人会の会長を務めるリアス海藻店=釜石市=の平野嘉隆代表取締役(52)は「生育は遅れているが、回復傾向にはなっているので、今後に期待したい。減産予想で高値となることで、消費者の需要離れが進んでしまわないかが心配」と話していた。
入札の結果、広田湾(広田・北浜)の芯抜き1等の10㌔価格は2万5800円。昨年を45%(8000円)上回った。
昨年の気仙最高値1万8199円をも大幅に上回り、近年では平成31年の2万6022円(綾里・前浜、同・野白浜)に次ぐ高値となった。今回、重茂の価格は2万6300円に達した。
県漁連の佐藤浩文参事は「種付け、種まきが遅れたのに加え、2月以降の生育も芳しくないことも考えられ、数量は厳しいかもしれない。今季の高水温は近年にない状況で、影響がどのように広がるかは読みにくい。福島第一原発の処理水放出の影響は、国内消費分に関してはないととらえている」と語った。
次回入札は25日(月)に予定。例年は、5月まで入札日程が組まれる。