経済効果は6300万円以上 省エネ家電等買替え促進事業 継続意欲も「財源が課題の一つ」
令和6年3月16日付 1面

大船渡市は、先月実施した省エネ家電等買替え促進事業に関する申請状況や経済効果などをまとめた。家庭のエアコンや冷蔵庫、給湯器を省エネ型に買い替える市内世帯に対し、最大5万円分を助成。予想よりも大幅に早く、申請受付開始から11日目で助成総額の上限に達し、申請数は220件だった。家電購入やエネルギー費用負担額削減といった経済効果は6300万円以上で、市は「大きな効果があった」との認識を示す一方、今後の実施に向けては財源確保を課題の一つに挙げる。(佐藤 壮)
買い替え対象は、エアコンと冷蔵庫に加え、給湯器は「エコキュート」やガス温水機器、石油温水機器に対応。基準達成率は、エアコンは2027(令和9)年度、冷蔵庫は2021(同3)年度、給湯器は2025(同7)年度をそれぞれ目標年度とし、100%以上を条件とした。
助成額は、対象家電の本体価格、消費税および地方消費税額を合算した金額の4分の1とし、5万円が限度。申請の受け付けは、盛町のサン・リア2階の「みんなのス窓」で対応した。
初日の2月1日は、40人以上の列ができる時間もあり、申請件数は140件に達した。翌日からは落ち着いたが11日で220件となり、助成予算上限額の1000万円に近づいたことから締め切った。当初は3月中旬まで受け付ける予定だった。
購入家電の内訳を見ると、冷蔵庫が160件(72・7%)、エアコンが44件(20%)、給湯器が16件(7・3%)。1件当たりの平均助成額は4万5395円で、大船渡商工会議所が発行する地域商品券で交付する。今月12日現在で204件分(927万円)の交付が終了している。
市では、今回の直接的な経済効果は6312万円と分析。家庭でのエネルギー費用負担や温室効果ガス排出量の削減に加え、市内店舗・事業所での省エネ家電購入、交付した商品券による幅広い業種での消費需要喚起を見込んでいる。
エネルギー費用負担額の削減効果は、年間272万円。温室効果ガス排出量の削減効果は年間28・73㌧とみる。スギ2050本分の二酸化炭素吸収効果に相当するという。
購入先は、市内の店舗・事業所に限定し、対象家電購入費は4673万円に上る。1件平均は約21万円。市では「家電量販店に大きく偏る結果にはならなかった。この事業実施が発表になった時点から、各事業所が積極的にPRなどに取り組んだ」と総括する。
経済効果には、家電配送料や取付工事費計約220万円、地域商品券交付額約1000万円分を計上。地元業者への申請受付業務委託149万円なども含む。
申請ペースは市の当初予想を上回る早さだった中、委託業者には終了後も問い合わせがあった。市民の間では、翌年度以降の継続実施を望む声も出ている。
今回は、エネルギー・食料品価格など物価高騰の影響を受けた生活者や事業者支援として国が設けた「重点支援地方交付金」を生かした。新沼徹市民生活部長は「非常に恵まれた財源を活用した。次年度以降は、財源確保が一つの課題」と語る。
そのうえで「市として、この事業の効果が大きかったという認識はしている。工夫を重ねながら、次の機会もぜひ設けたい。実施時期については、一定期間は空けた方がいいのではないかと考える」との見通しを示す。