ともに地域見つめよう イタルトコロ研究会 きょうまで陸前高田で報告会(別写真あり)

▲ 陸前高田市における研究や取り組みについて報告者が発表し、参加者と気軽に意見交換する場として開催される「イタルトコロ研究会」

 大学関係者をはじめ、陸前高田市と関わりを持ち続ける人たちによる「陸前高田イタルトコロ研究会」は16日に同市米崎町のグローバルキャンパスで始まった。17日までの2日間、さまざまな立場や分野、問題意識から陸前高田に関心を寄せ、同市をフィールドにした研究や活動を行う人々が報告を行い、地域住民とも意見交換しながら交流を図る。主催者は市民らに気軽な来場を呼びかける。
 全国の大学や学生と同市を結びつける事業などを展開する同キャンパス「陸前高田イタルトコロ大学」の本年度公式イベント。同市における取り組みや魅力を広く知ってもらう機会にしようと、2日間で11個人が調査・研究の概要などについて発表したり、住民らに話題提供を行う。
 このうち、16日に登壇した早稲田大学教員の筒井久美子さんは「北限のゆず調査団による北限のゆず歴史調査実施報告」として、生産の北限とされる同市のユズがいつ、どこから、どのように持ち込まれたかに関する調査成果を発表。文献をひもとき、大正初期にはすでに食用されていたことや、複数の由来がある中から特に①修験者が持ち帰った②気仙大工が持ち帰った──の二つの説について説明した。
 筒井さんは、文献の記述と現地のヒアリングを照らし合わせながら、いずれの説も確たる資料・証言は得られなかったものの、裏付けとなりそうな事実が浮かび上がってきたことを紹介。また、庭にユズの木がある家への聞き取りを通じ「図らずも、防災やまちづくりといった活動をしている人以外の『語るきっかけ』をつくることができた。これまではヒアリングを受ける機会のなかった方たちが『語り手』となり、若者とつながりを持てたことについて、思いのほか喜んでいただけた点が良かった」と、調査を越えた部分での手応えについても語った。
 またこの日は陸前高田まちづくり協働センターの今川久美子さんが「たかたの教科書」の制作過程に関して特別講演を行った。
 17日は午前9時30分開始、午後0時30分ごろ終了。一部のみ参加、途中の入退室も可能。参加無料。
 登壇者と発表内容は次の通り(開始時間はおおよその目安)。
 ▽9時30分~関口真生さん(早稲田大学3年)「津波伝承館解説員・熊谷葉月さんのライフストーリーインタビュー」▽10時5分~伊勢勤子さん(岩手大学研究生)「陸前高田市防災マイスターの集いについて」▽10時55分~松山真さん(立教大学教員)「一関市による組織的支援の全体像」▽11時30分~五味壮平さん(岩手大学教員)「『卒論・修論・研究のまち・陸前高田』の可能性と是非について」