「避難場所を確認している」76・8% 「食料・水、衣類など用意」27・7% 防災訓練参加は3割 市民意識調査 将来像は地場産業に期待多く

▲ 県が公表した最大クラスの津波浸水想定では、東日本大震災で被災を免れた地域も含まれており、さらなる防災意識向上が求められている

 大船渡市は、令和5年度市民意識調査の結果をまとめた。18歳以上の市民2000人に生活全般について質問し、42・4%にあたる848人が回答。防災に関する取り組みで「避難場所の確認」と答えたのは76・8%で前年度調査を上回った一方、「食料・水・衣類などの用意」は27・7%と、令和元年度以降では最低だった。将来のまちづくりに関しては、地場産業の振興を中心としたまちづくりへの期待が最も高かった。(佐藤 壮)

 

 市民意識調査は、市のまちづくりや施策に対する市民の意識を把握しようと、平成16年度から毎年度実施。結果から市政課題をとらえ、施策目的の達成状況を評価する際に必要な成果指標の現状値を把握している。
 調査内容は、生活環境や環境保全・ごみ対策、防災・防犯・交通安全、買い物環境、定住意識などの14分野。5年度は、住民基本台帳のデータ(昨年12月31日現在)から18歳以上の男女約2000人を無作為に抽出し、6年1月25日〜2月15日に実施した。調査用紙の配布、回収は郵送で行い、回答数は前回調査を93人(4・7ポイント)下回った。
 防災・防犯・交通安全に関する設問のうち「日常生活の中で取り組んでいることはありますか」は複数回答を可とした。
 多い順に▽災害時の避難場所を確認している(知っている)76・8%▽災害について家族で話し合いをしている37・7%▽市の防災訓練に参加している30%▽災害に備え、食料・水や衣類などすぐに持ち出せるように用意している27・7%▽特に意識していない11・7%──となった。
 避難場所に関しては、前年度調査の75・1%からやや上昇。防災訓練参加は、コロナ禍前の令和元年度は33・6%で、その後は30%前後で推移している。一方、食料・水、衣類の用意に関しては前年度の31%から低下して2年ぶりに20%台となり、元年度以降では最低だった。
 今回の調査実施時期は、能登半島地震発生直後に当たる。市は昨年4月、県が公表した最大クラスの津波浸水想定をもとに、新たな津波ハザードマップを作成して全戸配布を進めたほか、同10月の防災訓練は、元年度以来4年ぶりに市単独で地震・津波を想定して参加を呼びかけた。
 市は東日本大震災を機に整備された市内18カ所の防災倉庫などに分け、食料や水を備蓄している。津波浸水が想定されている区域の人口をもとに算定し、量は約1日分。数日以降の避難や震災規模の災害では足りず〝自助〟の対応が求められている。
 また、市は今回の調査から「将来どのようなまちづくりをしていけばよいか」の質問を追加。複数回答を可とし、選択を求めた。
 最も多かったのは「農林水産業や製造業など既存の地場産業の振興を中心としたまちづくり」で37・5%。「健康づくり活動と地域医療の充実による心身ともに健康で暮らせるまちづくり」が37・4%、「子どもの成長をまち全体で支え合う、子育てしやすいまちづくり」が35・1%、「豊かな自然や観光資源などを生かした、観光・交流を中心としたまちづくり」が29・7%となった。
 市では、本年度の調査結果を市ホームページ上で公開。結果は各種事業評価の指標の一つとし、今後の行政運営などに役立てる。