母校の誇り胸に新たな歴史へ 4月に新設統合の世田米、有住両中学校で閉校式(別写真あり)

▲ 有住中で閉校式が開かれ、校旗を返納
▲ 世田米中で閉校式が開かれ、校旗を返納

 4月に新設統合して「住田町立住田中学校」となる世田米中学校(遠山秀樹校長)と有住中学校(村松正博校長)で20日、それぞれ閉校式が開かれた。半世紀以上の長きにわたって地域とともに歩んできた両校が、その歴史に幕を下ろした。卒業した3年生たちは母校での学びを糧として飛躍していくことを、在校生たちは住田中の歴史を自分たちでつくり上げていこうと、それぞれが誓いを新たにした。(清水辰彦、7面に関連記事)

 

 世田米中は昭和22年、世田米町立として創立。30年の町村合併により住田町立となり、創立からの77年間で、6000人を超える生徒を送り出した。
 閉校式には生徒、教職員、保護者、住民、来賓ら合わせて約100人が出席。神田謙一町長の式辞、松高正俊教育長による教育委員会告辞に続いて、遠山校長が「これからは住田中学校1校のみとなる。(統合する)有住中と世田米中は切磋琢磨する関係であり、両校の良さが融合し、1町1校としての住田中学校が、明日の住田を担う人材育成に寄与する学校となれば」と述べ、校旗を返納した。
 お別れの言葉では、本年度卒業生の及川絢音さんが「今年は世中最後の年で、身の引き締まる思いのする1年だった。全校で世中最後の1ページをつくりあげることができた。先輩方が築きあげてきた歴史・伝統が途絶えてしまうのは名残惜しいが、ここから新たな歴史が築かれ、新たな伝統が生まれるのは楽しみなこと。母校の存在を忘れず、ここで学んだことや身につけた力を自信に変え、努力し続けたい」と誓った。
 校歌斉唱では、出席者が歌声に感謝と思い出を重ねながら、〝最後の校歌〟を歌いあげた。
 一方、有住中の閉校式には生徒、教職員、来賓、保護者ら約50人が出席した。
 同校は昭和46年、下有住、上有住、五葉の3中学校が統合して開校し、47年に現在地に新校舎が完成。開校以来、2300人を超える卒業生を輩出した。
 神田町長の式辞、教育委員会告辞のあと、村松校長は、さまざまな学校行事を振り返り「まさに地域とともにあった学校だった。閉校となるが、新2、3年生は有住中で培ったことを大切にし、先輩からまかれた伝統という種を、新しい学校で、新しい学校の良さを生かして育んでほしい」と述べ、校旗を返納した。
 生徒会長の遠藤瞳海さん(2年)は別れの言葉で、全力で行事や運動会、文化祭などに取り組んだ最後の1年を振り返り、「〝チーム有住〟の絆の強さが表れた1年だった。4月からは、これまでの先輩方が残してきた有中を心の支えに、新しい道を力強く歩み、私たちが住田中学校の歴史をつくっていく」と力を込めた。
 最後となる校歌斉唱では、母校への感謝を込めて全員が高らかに声を響かせた。