災害時の支援拠点 気仙にも 陸前高田エリアを新設 県 地震や津波、風水害など想定 6年度から運用へ
令和6年3月22日付 1面

県は、平成26年に策定した広域防災拠点配置計画の見直しを行い、大規模災害発生時に被災地での活動を支援する拠点について、現行の内陸部5エリアを沿岸部も含む10エリアに拡大する。気仙には、後方支援拠点「陸前高田エリア」を新設し、広域防災拠点構成施設として陸前高田市高田町の市消防防災センターと夢アリーナたかたを設定。併せて、大船渡市にある大船渡港の活用も見据える。見直し後の計画は今月中に決定し、6年度から運用する。(三浦佳恵)
同計画は、平成23年に発生した東日本大震災津波の災害対応検証を踏まえ、24年度に策定した「県広域防災拠点整備構想」の具体化を図ろうと整備したもの。
現行では、県内全域で発生する大規模災害に対応する人・物・情報に関する機能を有する「広域支援拠点」を盛岡・花巻エリアに設定。構成施設として、岩手産業文化センター(滝沢市)や花巻空港(花巻市)など12カ所を設けた。
また、被災地により近い場所で支援を担うため、活動部隊を支えるとともに、物資・資機材の備蓄や情報収集伝達機能などを持つ前進基地となる「後方支援拠点」を二戸、葛巻、遠野、北上の4エリアに配置。構成施設は四つのエリアを合わせて17カ所ある。
現行計画の策定から10年が経過し、県内では三陸沿岸道路や釜石自動車道、宮古盛岡横断道路といった復興道路、復興支援道路が開通。このほか、全国的な風水害の激甚化、災害対応の広域化など近年の動向を踏まえ、計画内容を見直すこととなった。
見直しに当たっては、想定する災害に現行の地震、津波、火山のほか、新たに風水害を追加。市町村への照会結果などをもとに選定した施設を対象に調査を行った。
その結果を受け、後方支援拠点として陸前高田のほか、一関、久慈、宮古、釜石の5エリアを新設。沿岸部については海路の活用も念頭に置き、各地域の主要な港もエリアに含めた。構成施設は陸前高田2カ所、一関2カ所、久慈3カ所、宮古5カ所、釜石2カ所を置く。
また、現行の構成施設は災害の危険性などを踏まえて再度検討。見直し後の構成施設数は、合計で47カ所となった。
陸前高田エリアは、震災後に高台に整備された市消防防災センターと、夢アリーナたかたを構成施設に設定。同センターは、被災現場で活動する自衛隊や消防、警察、ボランティアらの調整所を置く中核施設に位置付けた。大船渡港もエリア内とし、その活用も視野に入れる。
今回、沿岸部に後方支援拠点を置くことで、内陸部での災害発生時に、沿岸部の拠点から支援が可能になる。また、三陸道の利用により、沿岸北部と南部の縦による相互支援も図られる。
新たな計画は庁内で正式決定後、6年度から運用。県は引き続き、各市町村からの情報収集も進めながら、必要に応じて計画の更新、変更を行い、その充実を図るとしている。