権利擁護支援で地域貢献を 気仙の関係団体連携 成年後見制度利用推進協が大船渡で初会合

▲ 成年後見制度の利用推進を通し、地域づくりに貢献していくことを確認

 気仙3市町の関係団体で構成する気仙地区成年後見制度利用推進協議会は22日、大船渡市盛町の市総合福祉センターで初めての会議を開いた。幅広い分野の関係団体が連携を図り、成年後見制度をはじめとした権利擁護支援をより手厚いものとすることで、気仙地区の地域づくりに貢献していくことを確認した。
 成年後見制度は、認知症患者や知的障害者、精神障害者など、判断能力が不十分な人の権利や財産を守り支援していくための制度。同制度を利用することにより、判断能力が不十分な人に代わり、成年後見人等が訪問販売や悪質商法への対応(契約の取り消し)、預貯金や不動産などの財産管理、入院や介護サービス等の利用手続き、契約の支援などにあたる。
 気仙では、同制度の利用をサポートすることを目的に、令和2年7月に住田町社会福祉協議会が「住田町成年後見相談窓口」、同年9月に大船渡市社協が「大船渡市成年後見支援センターまるさぽ」、3年8月に陸前高田市社協が「りくぜんたかた成年後見さぽーとセンター」をそれぞれ開設。また、中核機関となる「気仙地区成年後見センター(愛称・チームこうけん)」を2市1町で合同設置・運営し、同制度の充実を図ってきた。
 今回開かれた推進協議会は、「チームこうけん」が行う三つの会議体のうちの一つで、専門職団体、医療、福祉、金融、関係行政機関、当事者団体など、気仙地区内の40団体余りで構成。同日は35人が出席し、委員への委嘱状交付式のあと、チームこうけんの役割や目的、協議会の設置要綱の確認などを行った。
 はじめに、大船渡市民生児童委員協議会の猪川地区民生児童委員協議会長・三浦和士さんを成年後見制度利用推進協議会の会長として選出。陸前高田市民生委員児童委員協議会長の菅野直人さんが職務代理者として指名された。
 続いて、事務局が「気仙地区成年後見センターと気仙地区成年後見制度利用推進協議会について」と題し説明。このうち、同協議会については、専門職団体や関係機関の連携強化を図り、「顔の見える関係」を構築することを設立の一番の目的として挙げた。
 成年後見センターの愛称「チームこうけん」に込めた思いについて触れた際には、地域づくりに貢献するためのチームであることを強調。「個々のケースの課題解決はもちろん重要だが、気仙地区の地域づくりに寄与することが最も重要。それらのシステムが将来的な気仙地区の財産となることを期待する」などと述べた。
 今後については、協議会を年1回6月に開催し、▽チームこうけんの運営と体制▽気仙地区の成年後見制度利用支援に関する協議、勉強会▽地域連携、顔の見える関係性の構築──などについて話し合うことを確認。
 スムーズに課題解決方策等の具象化を行うため、協議会内の専門職や関係行政機関等13団体で構成する運営協議会を設立すること、困難なケース等を個別に支援するための成年後見制度利用検討専門家会議を原則月1回開催することなども紹介された。
 三浦会長は「始まったばかりだが、成年後見制度の利用促進という目的に向けて、うまく協議会を動かしていけたら。直接相談を受ける現場の人や、専門的な知識で実務を担う人など、全員で連携して気仙で困っている人をサポートし、地域に貢献することができれば」と話していた。
 協議会の委員とオブザーバー次の通り。
 ▽法律関係者=川見哲一、富谷耕作、藤原美智子、菅野嘉洋、佐藤雄幸、新沼拓郎
 ▽医療関係者=千葉誠、金野良則
 ▽福祉関係者=千田富士夫、吉田展泰、佐々木厳、小笠原登志江、新沼康二、永澤恵里子、横澤孝一、田村将和、村上圭子、新沼節子、吉田和正、千葉昭郎、浅野文恵、松本崇史、畠山朋也
 ▽金融関係者=髙橋英貴、菅野功洋、池原谷操
 ▽地域関係者=三浦和士(会長)、菅野直人(職務代理者)、松田栄吉、熊谷君子、小野寺彦宏、菅野英子、上野哲、石山絹代
 ▽関係行政機関=佐々木紀子、大和田沙織、高萩倫子、工藤麻里、大和田美奈、佐藤寛高
 ▽オブザーバー=堀江力