「私債権」滞納に厳しく 水道料金や学校給食費、市営住宅使用料など 4月から督促状に手数料、遅延損害金も

 大船渡市は4月請求分から、昨年制定した市債権管理条例に基づき、市営住宅をはじめ各種使用料の滞納による「私債権」にも、督促状1通につき100円の手数料を徴収する。期限を過ぎて納付した場合も、遅延損害金が発生する場合がある。市は「期限内に納めた人と、期限を過ぎて納めた人との負担の公平性を確保するため」とする一方、被災や病気、失業などでの減免制度も設けており、相談を呼びかける。(佐藤 壮)

 

4月請求分から私債権に督促手数料と遅延損害金を導入する大船渡市

 市財政の歳入の根幹となる地方税の市民税、固定資産税、国民健康保険税などについては、滞納処分などを進め、収納率向上や収入未済額の縮減を図ってきた。一方、市営住宅や水道の各使用料、災害援護資金貸付金元利償還金、学校給食費、墓園管理料といった私債権は、細部の事務処理基準がなく、収入未済額の削減が進まない課題がある。
 市は昨年3月、同条例を制定。令和5年度は周知期間と位置づけ、市広報やホームページで示してきた。また、各使用料徴収の案内に合わせ、理解を求めている。
 新年度から、期限を過ぎても納付しない場合、督促状1通につき100円の手数料を徴収。これまでは地方税や公債権のみだったが、私債権にも拡大する。
 遅延延滞金は、使用料の年3%に納付期限の翌日から支払いまでの日数を乗じ、365日で割った額を算定。使用料は2000円以上を対象とし、遅延損害金が1000円未満の端数は切り捨てる。仮に、10万円の使用料を半年間支払わなかった場合の延滞金は1500円程度となる。
 市によると、令和4年度における市税の収入未済額は1億2684万円で、収納率は97・05%。国民健康保険税は9185万円で、収納率は88・75%。いずれも収入未済額は前年度よりも上昇した。
 公債権と私債権分は計1億9397万円で、収納率は88・50%。平成30年度以降、収入未済額は増加が続く。主な私債権は市営住宅や災害援護資金貸付金元利償還金、水道使用料となっている。
 手数料や遅延金は、4月請求分から適用する。督促状送付時に新たな請求書を同封するが、通常請求分に手数料が上乗せされるという。
 口座引き落としを続けて、残高が足りずに納入できなかった場合なども、督促状が送られるという。「知らなかった」「忘れていた」といった場合も手数料の対象となるため、注意を呼びかけている。
 佐々木義和税務課長は「期限内に納めている人との負担の公平性を確保する観点の措置。督促状を出すことに対して、切手代をはじめ経費が発生している」と話す。
 そのうえで「震災で財産を損失したり、疾病による負傷・死亡で多額の経費を要する場合、生活保護、失業などの場合は、減免申請の制度もある」とし、やむを得ない事情があり、期限内の納付が困難な場合は、各担当課に相談するよう求めている。
 問い合わせは税務課収納係(℡27・3111内線157、158、161)へ。遅延損害金の計算方法は別掲。