県代表の誇りと感謝胸に初の全国舞台へ 第9回全国ミズノカップジュニア選抜ソフトテニス選手権大会 女子の部に大船渡市の東朋中学校が出場 三重県で29日開幕

 第9回全国ミズノカップジュニア選抜ソフトテニス選手権大会(同実行委主催)は29(金)~31(日)の3日間、三重県四日市市の2会場で開かれる。本県からは、今年1月に山形県で行われた第32回ルーセントカップ東北中学校ソフトテニスインドア大会の女子団体で準優勝を飾った大船渡市の東朋中学校が出場。令和3年度の開校以来、初の全国に挑む選手たちが、県代表の誇りと支えへの感謝を胸に、校史に名を残す活躍を誓う。(菅野弘大)

 

ミーティングで熊上監督(右端)の話を聞く選手ら

県、東北で準優勝
全員でつかんだ全国

 

 東朋は1、2年生主体の新チームとなってから、気仙地区中学校新人大会の女子団体で優勝すると、県中学校新人大会でも3位に入賞。新体制で順調なスタートを切った。
 昨年12月に奥州市で開かれた県中学校インドアソフトテニス大会では、16チームでのトーナメント戦を勝ち抜き、決勝では前回王者の胆沢に惜しくも敗れたが、堂々の準優勝。同部では初となる東北大会への切符を手にした。
 東北大会では、4チームでの予選リーグを2位通過。決勝トーナメントは、全国出場メンバーを擁する鶴岡第三、県大会決勝で敗れた胆沢を退け、決勝進出を果たした。優勝はならなかったものの、ミズノカップ東日本大会と同全国大会への出場権を獲得。1月、埼玉県で開催された東日本大会でも、予選リーグを1位通過し、トーナメントで8強入りを果たすなど、快進撃は止まらない。
 県と東北はいずれも準優勝と、頂点まであと一歩手が届かなかった。「優勝にあと少し届かない悔しさが大きい」と語るのは、主将の水野椎奈選手(2年)。こうした選手らの〝ハングリー精神〟が、活躍を支える原動力につながっている。

 

 

各ペアが力結集し

日頃から試合を意識して練習に取り組む

次なるステージへ

 

 東朋中女子ソフトテニス部は、2年生4人、1年生5人の計9人で活動。全国大会には、この中から選ばれた8人が臨む。
 これまでの大会でも、重要な局面で各ペアが力を発揮し、結果につなげてきた。先輩、後輩関係なく、それぞれが試合の主役としての意識を持ち、次のステージへとステップアップしている。
 部長の鎌田海莉選手(2年)と水野選手のペアは「2人で一本」という共通認識を持ち、ラリーで粘ってポイントを重ねる。前衛の水野選手は「東日本8強は自信になったが、強豪とのレベルの違いも感じた。チームは良い雰囲気で練習できているので、今できることに集中して取り組む」、後衛の鎌田選手は「どんなに強い相手でも、気持ちで負けないことは意識している。チームワークを大切に、楽しくプレーする中でも、しっかり勝負、結果にこだわりたい」と見据える。
 もう一方の2年生ペア、東彩姫選手・磯谷あかり選手のペアは、前衛を磯谷選手、後衛を東(彩)選手が担い、声を中心とした連係力を生かして試合を進める。東北大会準決勝の胆沢戦では、県大会決勝で敗れた相手にリベンジを果たし「印象深い試合」と声をそろえた。
 磯谷選手は「これまでの3大会で、自分たちの成長への手応えも感じている。全国大会では、最後まで諦めずに戦いたい。ほかの選手の技術など、多くのことを学ぶ機会にもできれば」、東(彩)選手は「学年関係なくコミュニケーションを取り、一致団結できている。ミスをなくして、左利きの自分でしか狙えないコースに的確なボールを打ちたい」と意気込む。
 ともに1年生の赤坂万羽選手・東葵衣選手のペアは、攻守の切り替えと高いカバーの意識を徹底。東北大会1回戦の鶴岡第三戦では、準決勝進出がかかった大事な試合を勝ち切り、チームを勝利に導いた。
 赤坂選手は「今までの練習の成果を出し、試合でベストを尽くす」、東(葵)選手は「『良い試合ができた』と、思い残すことのないようにプレーしたい」と誓う。
 全国大会は、団体戦と個人戦があり、この3ペアは個人戦にもエントリー。団体戦では、1年生の吉田茉白選手と及川明希選手も控えており、「練習でやってきたことを全て出して、対等に戦えるように頑張る」「関わってくださる全ての人たちに感謝して、力を出し切りたい」とそれぞれ語った。

 

 

チームを引っ張る2年生の(右から)磯谷選手、鎌田選手、水野選手、東彩姫選手

選手たちから監督へ

伝える感謝の思い

 

 今回の全国大会で、顧問の熊上翼監督(60)が約37年の教員生活を終える。「面白くて、楽しい先生」と生徒からの信頼も厚いが、この大会引率が最後の職務となる。鎌田選手は「練習でたくさんアドバイスをくれ、試合では気持ちの面でも支えてもらった。熊上先生へのこれまでの感謝を伝えられる大会にしたい」と思いをにじませた。
 熊上監督は「順応性が高く、いろんな人の話を聞くことができる子たち。その中から、必要な情報を取捨選択し、プレーに生かせるところが、このチームの強みだと思う」とし、「試合が始まれば、プレーするのはペアの2人だけ。最後は自分を信じて、これまでの日々でつけた力を出し切ってほしい」と期待を込める。
 東朋が出場する全国大会女子の部には、団体22チーム、個人111ペアが出場。いずれもリーグ戦とトーナメント戦で順位を決める。
 東朋は、団体Dブロックのリーグ戦で松山(埼玉県)、日高(和歌山県)、GifuTed(岐阜県)、飯島(長野県)、篠山(愛媛県)と対戦。初の全国大会に挑む選手たちの活躍に期待がかかる。
 ※大船渡市立東朋中学校▽監督=熊上翼▽コーチ=吉田忠弘▽選手=水野椎奈(主将)、鎌田海莉(部長)、東彩姫、磯谷あかり、赤坂万羽、東葵衣、吉田茉白、及川明希