米クレセントシティとの友好の証し タイルアートの設置完了 市立博物館前に 現地で除幕 関係者喜ぶ(別写真あり)

▲ 市立博物館前に設置されたタイルアート

 東日本大震災後交流を続ける陸前高田市と米カリフォルニア州クレセントシティ市の友好関係のきっかけをつくった県立高田高校の実習船「かもめ」をモチーフにしたタイルアートが、高田町の市立博物館前に設置された。27日に現地で除幕式が行われ、関係者が祝った。同じ作品がクレセントシティにも飾られており、海を挟み7538㌔離れた両市の友好のシンボルとして管理する。
 式には関係者約30人が臨み、過去にクレセントシティ市を訪れた市民訪問団メンバーの姿も見られた。佐々木拓市長や及川修一市議会議長ら代表者が除幕すると拍手が起こった。
 佐々木市長は設置工事などを請け負った地元の鈴木建設㈱(鈴木健二郎代表取締役)に感謝状を贈呈。出席者は青空に映える色鮮やかな作品を笑顔で眺めた。
 タイルアートは、クレセントシティ市から依頼を受けた同市のアーティストが制作したもの。約2㍍四方の大きさで、実習船「かもめ」を掲げる両市の高校生、クレセントシティの灯台、陸前高田の奇跡の一本松などが描かれている。クレセントシティの方角を示す標柱も建てられた。
 高田高海洋システム科の養殖実習などで使われていた「かもめ」は震災の津波で流され、発災から約2年後の平成25年4月、米西海岸のクレセントシティに漂着。地元のデルノーテ高生らの尽力で同年10月に高田高に返還され、これをきっかけに双方の高校生による交流が始まった。
 両校は29年に国際姉妹校となり、30年には両市が姉妹都市協定を締結。相互に市民団の派遣も行われている。
 昨年4月、漂着10年を記念し、クレセントシティ市内にタイルアートが設置された。陸前高田市では返還されたかもめが展示されている市立博物館に設置することとし、今回お披露目を迎えた。
 来月、クレセントシティ市を訪問する予定の佐々木市長は「沿岸部にある両市は何度も津波被害を受けており、そうした災害の教訓を未来に語り継ぐうえでもこの交流は大きな意義を持っている。タイルアートが交流のシンボルとなることを願っている」と語った。