コロナ患者の5割余り占める 罹患後症状等(後遺症等)の経験 県がアンケー ト結果公表 けん怠感やせき、咽頭痛多く

 県はソーシャルネットワークサービス・LINE(ライン)で行った、新型コロナウイルスの感染対策に関する第7回県民意識調査の結果を公表した。8960人が回答し、このうち、「新型ウイルスに罹患した」のは3284人で、この5割余りが何らかの罹患後症状等(後遺症等)の経験を認めた。症状(別表参照)としては、けん怠感、せき、咽頭痛(のどの痛み)が多く、時間の経過とともに減少する傾向がみられた。(三浦佳恵)


 意識調査は感染対策の推進を目的に、県の公式LINEアカウント「岩手県─新型コロナ対策パーソナルサポート」の利用者(昨年11月30日現在で約16万人)を対象に実施。令和2年12月に始まり、これまで通算6回行われてきた。
 7回目の調査は、4年1月以来となるもの。今回は罹患後の健康面、社会的な影響について最新の実態を把握しようと、県としては3年以来2回目となる後遺症に関する調査も兼ねた。
 アンケートは昨年12月11~17日を期間に、基本的な感染対策に対する意識のほか、後遺症にかかる症状の発生状況、受診の有無、就労や就学への影響など26問を用意。回答率は5・6%。
 結果のうち、「新型ウイルスに罹患した」と回答した人は全体の37%。第8波が広がった「4年10月以降」に感染した人が多かった。
 罹患したと答えた人の中で、「ほかの疾患と説明がつかず、感染から3カ月たったあとも、少なくとも2カ月以上症状が持続した」という罹患後症状の経験者は1844人(56・2%)。症状で最も多かったのは、「けん怠感」の35%で、「せき」34%、「咽頭痛」31%、「頭痛」24%、「たんの排出」22%、「関節痛」20%などが続いた。
 罹患後症状の経験者のうち、「医療機関を受診しなかった」と答えたのは996人(54・0%)で、半数余りを占めた。理由の最多は「困っていないから」の68%で、「どこに行けばいいか分からない」が18%あった。
 回答時点で「罹患後症状が継続している」とした人は594人(18・1%)。症状は多い順に「せき」5%、「けん怠感」「たんの排出」「健忘」の各4%などだった。罹患後症状が継続している人の中で、「医療機関を受診しなかった」は300人(50・5%)と半数を占め、理由には「困っていないから」が48%、「どこに行けばいいか分からない」が37%となった。
 罹患者を対象に、「感染後に健康問題で就労や就学に影響があったか」と尋ねたところ、「何らかの影響があった」と答えた割合は19%。休職や休学、就業時間などの短縮、中には仕事・学校を辞めた人もみられた。
 県は「罹患後症状を認めた人も、その後、経過とともに症状が消失することが明らかとなった。ただし、一定の罹患後症状が残存していた」と分析。調査結果は県医師会と連携して各医療機関へ周知し、相談窓口の労働・教育関係機関にも情報を提供する。
 県は後遺症に悩む人向けに、今月末まではいわて健康フォローアップセンター(℡0570・089・005)で相談に対応。4月からは、県民医療相談センター(℡019・629・9620、平日午前9時~午後4時)と、いわて発熱等相談センター(℡0570・059・333、同4時~翌日午前9時と休日)で応じる。
 後遺症の治療と仕事の両立支援に関する相談は、岩手産業保健総合支援センター(℡019・621・5366、平日午前8時30分~午後5時15分)へ。