自転車で気仙の魅力感じて 3市町は東と南の2路線に 県 広域サイクリングルート決定

▲ 県広域サイクリングルートのゲートウェイに設定された陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園

 県はこのほど、「岩手県広域サイクリングルート」と四つのルート名称を決定した。気仙3市町がルートに含まれるのは沿岸市町村を縦走する「東」と、県南東部を一周する「南」の2路線で、名称は公募の結果、東が「いわて三陸しおかぜルート」、南は「いわて歴史遺産探訪ルート」となった。この2ルートには、三陸鉄道の利活用区間を設定し、三鉄の利用促進も図る。気仙を巡るルートの周辺には、各地域の歴史、文化などが感じられる観光地が点在しており、自転車利用者らに魅力を発信する新たな機会となりそうだ。(三浦佳恵)

 

名称は東…いわて三陸しおかぜ、南…いわて歴史遺産探訪

 

 広域サイクリングルートは、県が自転車を活用した観光振興などを促進しようと、令和3年3月に策定した「県自転車活用推進計画」に基づいて検討。国のモデルルートへの登録を見据え、県内の主要な観光地を巡る形で、広域振興局をベースに東・西・南・北の4基幹ルートを設けた。四つのルートにより、県内33市町村を全て通過できるようにした。
 昨年12月25日~今年1月24日には、各ルートの名称を公募。北は北海道から南は鹿児島まで、世代を超えた延べ155人から462作品が寄せられ、四つの名称が決まった。
 気仙3市町が含まれる2ルートのうち、東の「いわて三陸しおかぜルート」は、洋野町から宮城県気仙沼市へと沿岸部を縦断するもので、延長は約320㌔。「三陸沿岸の景色と海産物の宝庫を楽しみ、復興・伝承を学ぶルート」をテーマにしている。
 南の「いわて歴史遺産探訪ルート」は、釜石や北上、奥州、平泉、一関各市町などをまわるもので、延長は約310㌔。テーマには、「歴史文化を伝える世界遺産と四季の彩りをつなぐルート」を据えた。
 いずれのルートも、気仙では陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園をゲートウェイ(玄関口)に設定。主に国道や県道で構成するが、釜石市から大船渡市三陸町越喜来にかけては道路の幅員が狭く、トンネルが多いため、利用者の安全確保を考慮して釜石駅─三陸駅間は三鉄への乗車(輪行袋を使用せずに乗り込む際には、前日までに三陸鉄道に確認が必要)を呼びかける。
 気仙のルート周辺には、陸前高田市の東日本大震災津波伝承館、大船渡市の碁石海岸、大船渡町や盛町の中心市街地、住田町の滝観洞、世田米の蔵並みといった、各地域の歴史、文化、震災復興の歩みなどを感じられるスポットが点在。四季折々の海の幸、山の幸も楽しめる。
 県内のサイクリングルートはほかに、県央部から南西部を巡る西ルート(延長約290㌔)が「いわてイーハトーブルート」に、県央部から北部に設定した北ルート(約420㌔)が「いわて森の風ルート」に決定。県は今後、路面標示や案内看板などのルート整備を行うとともに、各市町との連携も強化し、ルートのさらなる充実と活用を図っていく考えだ。
 達増拓也知事は、「このサイクリングルートの活用を通じ、岩手のさまざまな魅力を全国、世界に発信していく」と話している。