消費者、店舗双方に恩恵を ポイントサービス「大船渡さんぽ」報告会 4月には〝3倍〟キャンペーンも

▲ 利用状況から浮かび上がる消費動向などを説明

 大船渡市の一般社団法人大船渡地域戦略(志田繕隆理事長)による経済循環に向けたポイントサービス「大船渡さんぽ」の事業報告会は28日、大船渡商工会議所で開かれた。加盟店舗、利用者が増加傾向にある中、加盟店舗がサービス利用分の売り上げなどを把握しやすい新たなシステムを紹介。4月は「ポイント3倍キャンペーン」を実施し、利用者の〝お得〟や加盟店の売り上げ増などを後押しする。(佐藤 壮)

 

 「大船渡さんぽ」は、消費者がスマートフォンでアプリをダウンロードし、各種情報を登録。会計時にスマートフォンアプリを使うと、支払額100円につき1ポイント(1円分)がたまる。消費・ポイント利用双方の〝地域循環〟を狙いとしている。
 一昨年8月から運用が本格化し、今年2月末時点で1200人以上が利用。加盟は99店舗で、このうち実質的に稼働しているのは70店舗程度という。ポイント管理によって、各店舗での利用状況や消費者の動向といったデータも把握できることから、情報共有を図ろうと説明会を企画した。
 加盟店舗や市、商工会議所の関係者ら約20人が出席。志田理事長らがこれまでの利用状況を説明した。
 月平均で200~250人が利用し、1000回ほどの決済が行われ、金額は500万円程度。新規利用者数は、昨年5月から約260人増加した。大船渡を含む沿岸在住者が多い。男女比は半々で、30代、40代、50代の利用割合はほぼ同じで、幅広い層への浸透がうかがえる。
 志田理事長は「マイヤをはじめキャッセン大船渡エリアを中心に、少しずつ日常づかいが浸透している」「県外在住利用者は、買い回り・周遊を強化して、利用金額の増加を図りたい」などと説明した。
 ポイント利用の管理によって、居住地別の決済金額の差異や回数などが分かる。県外訪問者は消費単価が向上しているほか、全体ではスナックなどでの利用が多い傾向も示した。
 この日は、新たに導入した「加盟店ダッシュボード」の紹介も。加盟店がログインすると、加盟店全体での売り上げランキングや自店舗の売り上げが多い時間帯、性別、年代、1人当たりの利用といったデータを確認できる機能が示された。
 また、志田理事長は、4月1日(月)~30日(火)に実施するキャンペーンも説明。通常は100円の会計で1ポイントたまるが、期間中は3ポイントとなる。加盟店では、1ポイントは1円分として使える。使える店舗には、キャンペーン用のチラシ掲示を呼びかける。
 今月27日に販売が始まった市のプレミアム付商品券の相乗効果にも期待を込める。志田理事長は「キャンペーンをすると利用が伸びる。会員、加盟店のためにも、今年は頻繁にできれば」と話したほか、市を超えた広域展開を見据えたシステム整備にも意欲を示した。
 大船渡地域戦略は、市内事業所が中心となって令和3年9月に設立。大船渡さんぽに加え「恋する旅行。大船渡」と題したモニターツアーなどを展開する。
 昨年、観光庁から候補DMO(観光地域づくり法人)として登録された。地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域経営の視点に立った観光地域づくり先導の役割が期待され、全国的に設立の動きが広がる。気仙の団体が地域DMOに候補登録されるのは初で、今後の展開が注目されている。
 「大船渡さんぽ」に関する問い合わせは同事務局(℡070・1159・1233)へ。