「住田中学校」最初の一歩 世田米、有住両校統合で誕生 開校式で継承と発展誓う

▲ 住田中の校旗を受け取る遠山校長㊨

 住田町立世田米中学校と有住中学校が統合した「住田中学校」(遠山秀樹校長)の開校式が4日、旧世田米中の校舎を使用する新中学校で挙行された。式に臨んだ生徒たちは、両校の良さを住田中に引き継いでいくとともに、自分たちで歴史を築いていくことを誓った。住田中の入学式は5日午前10時から同校で行われ、新入生21人を迎え全校80人で新たな一歩を踏み出す。(清水辰彦)


 開校式には2、3年生と教職員、町教委、来賓ら合わせて約100人が出席。松高正俊教育長が「学校教育目標を『夢実現のため努力する生徒』『誇り高く郷土に愛着を持つ生徒』。住田町立住田中学校の開校を宣言します」と述べたあと、遠山校長に真新しい校旗を授与した。
 神田謙一町長は、統合にあたっての地域や関係者の協力に感謝を示したうえで、「住田町唯一の中学校として、世田米中、有住中の歴史を引き継ぎスタートし、本日から新たな校風を築いていく。最初の生徒となる皆さんは、日々の学習、生徒会活動、部活動、地域行事に積極的に参加し、歴史を築き上げてほしい。ふるさとへの愛着と誇りを胸に、自らの夢の実現のためにたくましく生きる人になってほしい」と式辞。
 遠山校長は「全校が80人となり、これまで以上に学びが大きくなる。お互いを価値ある存在として思いやり、尊重し合い、支え合い、高め合いながら、新しい校風と歴史を築いてくれるものと期待している」とあいさつした。
 来賓の祝辞に続き、生徒を代表して遠藤瞳海さん(3年)が、世田米、有住両校の閉校に触れ「別れは次への第一歩となる。新しい学校での生活は大きな挑戦となるが、世田米中と有住中の良さを引き継ぎ、住田中学校をつくっていく。新しい仲間との出会い、新しい活動、新たな伝統などたくさんの希望が詰まっている。この学びやを、成長の舞台にしていく」と、一つ一つの言葉に力を込めた。
 最後に、出席者全員で新たな校歌を斉唱。歌詞には「気仙川」や「種山」といった住田を代表する自然や、「心ひとつに」「今こそ創る新しい時代」など、これからの住田町をつくってほしいと願う言葉が盛り込まれており、出席者たちはその思いをかみしめながら声を合わせ、新たな歴史の幕開けにあたり、伝統を築いていこうと気持ちを新たにした。
 全国的に少子化が進行する中、同町でも児童・生徒数が急速に減少。将来的に子どもたちの社会性育成をはじめ、学校運営などに支障をきたすことが見込まれた中、町教委は令和3年7月、町教育審議会に対して「今後の小中学校のあり方」を諮問。同審議会では議論を重ねた結果、「中学校は統合することが望ましい」との結論に至った。4年度には学校統合推進協議会が設置され、統合に向けた協議が本格化し、開校に向けて準備が進められてきた。
 世田米中は昭和22年、世田米村立として創立。30年の町村合併で住田町立となった。一方、有住中は昭和46年、下有住、上有住、五葉の3中学校が統合して開校。両校の閉校式は3月20日に行われ、それぞれ半世紀以上の歴史に幕を下ろした。